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私の肩に優しく暖かい手を置くなつ。
夏城、それは日本で有名なお嬢様でありながら、その顔を知ってるのは数少ない。
それでも財閥や建造物、契約など
様々な面での社会的なことは夏城家を通すもので、夏城家は頭が上がらないと言われる。
私はそんな人に着いていいのだろうか?
「いいですよね?」
なっちゃんは重たい圧をかけた。
お世話になる夏城家に逆らうことはほぼ不可能だろう。
「……そう…ですね、」
両親も、いるまも了承せざる負えない。
だがしかし、
「宜しいのですか…、」
両親は続ける。
「その子…他国からも許嫁の申請されてますし、皆がその子の取り合いなんですよ?」
それは私も初めて聞いた。
だけど夏城家にそれは効かない。
「あたし以外らんのこと幸せにできないから」
普段とは違うギャップでもあり、
普段は見せない姿に見惚れてしまいそう。
「…ぁのッ…」
そろそろ帰ろう、なんて言われそうだから、聞きたいことと伝えることだけは伝えとこ。
「…私はなんでそんな…他国の人など…」
正直自分には権力や名誉など高い訳でもない。
自分と婚約したところできっとその人の権力も名誉も下げてしまうかもしれない。
「ぇ…なんでって…」
なつまで見合わせて同意しているような、顔で目で会話する。
「…自覚した方がいい。」
全員して口を揃えて、そういった。
だけど自覚、なんて言われても分からない。
1つ心当たりがあるなら…
「…同情されてるの?」
そう聞くと違う、そう思ってることは間違いない。が、詳しくは教えてくれなかった。
「まぁいいわ、らん、幸せにはなれよ。」
幸せ“には“ってなに。
「じゃあな。」
いるまがそう会釈するから、これがいるまと親しむ最後かもしれない。
これからは今まで通り話すことはきっと出来ない。だから。
「…ありがとうっニコッ」
せめて最後に、短時間でも何も無い私を受け入れてくれて、嬉しかったから。
それだけ言って、私はその場を後にした。
「本当、自覚しろよな…」
耳が赤くなるのを自分で実感した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「…ねぇなっちゃん、」
それだけ高家な人材が私なんかでいいのだろうか。なんて聞いたら失礼だろうか。
「…らんの家行こう?」
なつの誘いに乗ることにして、少し離れた別荘に案内した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「…両親とかは?」
なつが聞くから、素直に応えよう、そう思いなつの目を見て微笑んで応える。
「いないよ。」
何度も見た驚く表情。
「お父様は私が産まれた日に亡くして、」
「お母様は私が3歳の誕生日の前日、事故で亡くした。」
「お姉様もいたけど、お母様と一緒に亡くして、今は私一人だけ。」
その説明をした瞬間なつの目が変わった。
あの時“同情“と言ったのは、このことか。
でもだとしたらおかしい。
両親はいない、なのに未だに桃乃家の噂は聞く
桃乃家が貢献してくれたなど、
桃乃家が未だに動いている?
「…なぁ桃乃家の仕事は誰か引き継いだのか?」
引き継いだなら桃乃家の名前で動くのは違法だ。止めなければ、なんて思ったがその必要は無いみたいだ。
「うん、私がやってる。」
そうか。
らんが桃乃家のことを継いで…。
「やってる!?」
おかしいおかしい。
高校生でできる範囲ではない。
それにらんは高一。3歳の頃に両親も姉も亡くして、桃乃家の名誉が途切れることは無かった。
「…1度でも誰かに引き継いでた?」
「ううん、私が3歳の頃からこの仕事は続けてる。」
頭がパンクしそうだ。
出来る量ではない。
真面に言葉の意味すら理解できなくて、それで契約とかしてたとか言い出したら、その会社の取引人、頭おかしいで?
いやでも桃乃家が今まで契約してきた会社に倒産も失敗も聞いたこと無かった。
むしろ成功しか聞いていない。
「…もしかしてらんが許嫁を攻め寄られる理由はそれか?」
そう確認したが、らんは分かっていない顔。
いるまらが言ってた自覚はこれか?
いや…桃乃家の両親や姉が居ないことがあたしですら知らないということは有名な話じゃない。なら…あたしが思ってる自覚してほしいことと同じはず………
よし。
「よく分からない。」
思考を放棄しよう。