~🧡~
めめと阿部ちゃんが付き合っているなんて、本当に知らなかった。阿部ちゃんは俺のことだけ見てるんだって思ってたのに。
涙と鼻水と血液が混じって、ぐちゃぐちゃになった俺の横で、めめが何度も何度も照兄にナイフを振り下ろしている。
血の海にいる照兄の息が、時間が経つにつれ、小さくなっていく。
やめて。照兄まで殺さないで。俺のせいなら、殺すのは俺だけにしてくれ。
そんな言葉にならない叫びを、俺は狂ったように繰り返している。
殺人鬼へと変わり果てた、かつての仲間には届かないと分かっているのに。
🧡「もう、やめて…」
泣き腫らした顔でそう俺が呟いた瞬間、めめはこちらを振り向いた。
照兄は、目を閉じて眠ったように動かない。
そんな照兄には見向きもせず、めめは痛い程力強く俺の肩を掴んで問いかけた。
🖤「どうして、阿部ちゃんに手を出した?」
🧡「俺が、好きやっていったから…」
🖤「じゃあ康二くんのせいだってこと?」
🧡「せ、せや。誰かが傷つくぐらいなら、俺のこと、殺してくれ…その代わり、もう、誰も殺さないでほしいねん」
💚「だめだよ、康二、そんなこと言うな…!」
🖤「ふーん」
照兄の真っ赤になった横顔を見つめながら、俺は逃げ出したい一心でめめにそう訴え掛けた。
🖤「じゃー康二くんは何にも知らなかったんだね。でも見られちゃったからなぁ…」
🖤「君も来世で岩本くんと一緒になれるように、殺してあげる」
ケラケラと笑いながら、めめはナイフを逆手で持って俺の胸に突き立てた。胸骨を貫通して深く刺さったナイフは、俺を内側から壊していった。
🧡「うぐっ、っあぁぁぁ、ぁ!!」
これまで経験したことの無い程の痛みが、体を引き裂く。俺よりも涙を流している阿部ちゃんが、めめに向かって必死に声を枯らして叫んだ。
💚「康二ぃっ!!やめろぉ!!蓮!もうやめてってば!この人殺し!悪魔!殺人鬼!」
🧡「あべ、ちゃ…」
阿部ちゃんは標的を自分に移そうとしているのか、挑発的な言葉を並べてめめを煽った。
めめは案の定、頭に来たのか阿部ちゃんに近づいて、耳元で何かを囁いた。
痛みで死にかけている俺には到底聞こえる筈もなく、阿部ちゃんが肩を落としてこの世の終わりの様に泣いている姿だけが見えた。
未練と後悔が募る俺の脳裏に、走馬灯が見えた。
今まで楽しかったこと。故郷の家族たちの顔。良くしてくれた先輩や後輩などの仲間達。大好きだったメンバーとの時間。
もう戻ることの出来ない一瞬の思い出達に、涙が込み上げてきて、俺は静かに永遠の眠りに就いた。
次回に続きます。
コメント
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次の話、後で読もうと思ったら消されてた😅😅😅