暖かい陽だまりが差し込む病院内。
唾切と唾切の父は分娩室のそばの椅子に腰をかけ、その時をいまかいまかと待ち侘びていた。
ガラガラと音が鳴り、分娩室から1人の看護師が飛び出してくる。
「無事、生まれましたよ!」
「なんだって!?」
バタバタと音を立てて、父が分娩室に飛び込んでいくのを見ながら、唾切は少し早歩きで父の姿を追った。
分娩室に入ると、光がカーテン越しに新しい命を抱く母とその側で泣きながら喜ぶ父を照らしていた。
「唾切、早くおいで」
優しい声で、母が呼ぶ。
「かわいいなぁ泣」
泣き声と嬉しいが混じった声を出して、赤子を見つめる父。
唾切が無言で近づき赤子に、手を出す。
唾切〔ちっちゃい、手もっちもち、〕
無言で赤子の手を触る唾切に応える様に赤子は唾切の指を一本弱々しく握る。
唾切は、驚きながらも嬉しそうな笑顔を浮かべ赤子を愛おしく見つめる。
「唾切この子はね、あなたの”弟”になる”四季”よ」
「仲良くするんだぞ」
唾切「四季、?」
唾切は、まるで頭をガツンと殴られた様な感覚に陥りその直後、倒れた。
終わり
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