テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
恋風
______
ギュビンside
雨の中で叫ぶ君を
一生忘れることはない
gy「…ゆじな、落ち着い…」
yu「落ち着けないよ!!」
必死に宥めた。
この子の辛そうな顔なんて見たくないから
yu「ひょんにはわかんないよ!」
yu「じゃああの時どうすればよかったの!?」
yu「どうしたらまだ幸せだったの!?」
yu「もう好きじゃないって言われたら…」
yu「僕はどうしたらよかったの!!」
gy「……ゆじな…」
yu「答えてよ!!どうしたらいいの!?」
君の切実な訴えが
雨の音と一緒に届いた。
あの日君は
大好きだった人と別れた
自暴自棄だった。
俺には何も出来なかった。
雨と涙でぐちゃぐちゃになってる君をみても
俺にはかける言葉が見つけられなかった。
________
ー1年後ー
gy「ゆじな~!」
yu「ひょん!遅いよ~」
gy「ごめんごめん」
いつも通り中庭で一緒にお弁当を食べる。
ゆじなはもういつも通り。
あれから泣いてるところを見たこともない。
あの後時間をかけて元気づけた。
時間がたってゆじなは普通に生活してるし
「あの人」の話をすることもない。
でも、俺は知ってる。
君の家に飾ってある「あの人」の写真
まだ捨ててないでしょ。
まだ、忘れられてないんでしょ。
でももう慣れっこだから
今さら何とも思わないよ。
gy「食べよっかぁ~」
yu「うんっ」
あれからゆじなと俺が離れることは無かった。
いつも隣を歩いているこの子が
気づけば好きになっていた。
でも言わない。言えない。
gy「飲み物買ってくるから座ってていいよ」
yu「ひとりで良いの?」
gy「うん~待たせたお詫び~」
yu「はぁい」
ゆじにを置いて自販機に飲み物を買いに行く。
自販機の周りには沢山の生徒がいて中々進まない。
________
gy(遅くなっちゃった……)
2人分の飲み物をもって元の場所に歩く。
ベンチに座っているゆじにが目に入る。
_____それだけじゃない。
gy「……なんで…?」
驚くほど掠れた声だった。
衝撃で飲み物を落としそうになるのを
グッと堪える。
ゆじにの隣に立っている人。
_____「あの人」
なんでいるの?
なんで話してるの?
やっと忘れて生活してたのに
なんでまた、戻ってくるの?
gy「……はおひょん…」
「あの人」の名前をそっと呼んだ。
強ばった顔をその人に向けるゆじにと
驚いた顔でこちらに顔を向けるその人。
ha「ぎゅびな……」
はおひょんが俺の名前を呼ぶ。
一気に記憶が蘇る。
忘れていた記憶が。
思い出さなくてよかった記憶が。
yu「……ひょん…」
困った顔をこちらに向けるゆじに。
やっと普通に生活できてたのに。
やっと2人で楽しく過ごせるようになったのに。
思い出しちゃったじゃん。
なんでここにいるの。
gy「…何してるの?」
その言葉には無意識に怒りが籠っていたと思う。
そんなつもりなかった。
でも、会いたくなかった。
……違うか
会わせたくなかった。
zh「…ごめん……。まさか2人がいる学校だと
は…」
俺の言葉に申し訳なさそうに顔を逸らした。
なるほど。
よりにもよってここへ編入してきたんだね。
gy「……行こう、ゆじな」
yu「あ……うん」
はおひょんを置いて逃げるように去った。
これ以上話させたくないから。
後ろを振り向けなかった。
はおひょんを突き放して逃げた。
俺ははおひょんの事情を
知っているのに。
_______
俺たちは屋上に移動した。
gy「……ここも人いなくていいね」
返事が返ってくることは無かった
多分ゆじにの頭の中は今
「あの人」の事でいっぱいだろうな。
全部思い出しちゃったんだろうな。
「あの人」と同じ学校になった今
ゆじにはまた、いつも通り生活できる?
gy「……大丈夫?」
俺の言葉にはっとしたように顔を上げた。
yu「あ……うん。大丈夫」
嘘つき。
もう。なんてことしてくれたの。
俺の努力ぜんぶぜんぶ
さっきの一瞬にして消し去った。
でも俺は
はおひょんを憎めない。
_____