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【深夜のスタジオ:8人の審判】
カチャリ、と背後で阿部が鍵を閉める音が響く。
「おかえり、蓮。……遅いじゃん」
スタジオの中央、パイプ椅子に脚を組んで座る岩本が、ビデオ通話の時よりもさらに険しい表情で目黒を見据えた。
目黒は、ロケバスで自ら傷つけた脇腹を隠すように、ボロボロの身体を小さく丸める。
「照くん……ごめんなさい……」
「謝る相手、間違ってへん? 俺ら、ずっとここで待ってたんやで」
「そうだよぉ! めめがドラマで鼻の下伸ばしてる間、俺たちは寂しかったんだから!」
向井と佐久間が、左右から逃げ道を塞ぐ。二人の目は笑っているが、手つきは驚くほど乱暴に、目黒のコートを剥ぎ取った。
「……あ、やっぱり」
宮舘が、目黒の鎖骨あたりに残る、ラウールや深澤が付けた「新しい痕」を指先でなぞる。
「俺たちのいないところで、ずいぶんと可愛がられたみたいだね」
「……みんな、やりすぎだよ」
渡辺が冷たく吐き捨てながらも、目黒の顎を強引に持ち上げた。
「でも、それくらいやらないと、お前は自分が誰のモンかすぐに忘れちゃうもんな」
「……さぁ、反省会の続きを始めようか」
阿部が、スタジオの大型モニターに、今日のロケのラブシーンを大写しにする。
スローモーションで繰り返される、エリカと目黒の接触。
「……っ、やめて……見ないで……!」
「見ろよ。お前がどんな顔で女に触れてたか、自分の目に焼き付けろ」
岩本が立ち上がり、目黒の前に立つ。
その圧倒的な威圧感に、目黒は膝をついた。
「……今夜は、その女の感触を全部上書きしてやる。……全員でな」
岩本の言葉を合図に、スタジオの照明が落とされ、スポットライトだけが目黒を照らし出す。
ステージの上では完璧なアイドルを演じる目黒が、今は8人のメンバーの手によって、衣装を、プライドを、そして理性を、一枚ずつ剥がされていく。
「……ひっ、あああぁ……っ!」
防音壁は、目黒の悲鳴を外に漏らすことはない。
きらびやかな芸能界の裏側。日本の頂点に立つアイドル・目黒蓮は、自分を「最高傑作」として愛で、壊そうとする8人の愛という名の暴力に、夜が明けるまで沈められていった。
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