「…ごめん、それから…今までありがとう」
震えながら君は、それだけ言った。
もう霜が降り、寒くなってきた頃だ。
君は薄着で、泣きながら立っていた。
「…どうしたの?」
「…俺、人殺しになっちゃった」
ヤケのような笑いをして、彼は語り出す。
「ずっと…嫌だった。あいつらの世話をしながら、暴力受けたり暴言吐かれたり…もう散々だった。行動に移すのは一瞬だった。…結果、これだよ…」
自嘲のように笑いながら君は言った。
「俺、誰もいない所で死のうと思っててさ」
僕は黙って、話を聞いていた。
「だから、お別れ。紫苑には言いたかった」
悲しそうに笑う彼は、無理をしているようだった。
「…じゃあさ」
僕は1つ提案をした。
「一緒に行こう」
僕の言葉に、彼は酷く驚いたようだった。
「…紫苑、本気?俺は人殺しなんだよ?」
少し焦る様に彼は言った。
「本気だよ。僕は白玖の友達だろう?」
「………莫迦だなぁ…」
「莫迦で結構、元より承知さ」
僕と彼は顔を見合わせ、笑った。
少し呼吸を置き、君は言う。
「俺と一緒に、逃げてくれる?」
「もちろん。何処まででも」
僕と彼の、長い長い逃避行の始まりだった。
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読み切りだけどこの先書きたくなってきた…w
るざぴの「あの夏が飽和する。」を聞いて衝動的に書いたっていうね…
まあやりたければそのうち…やるかもしれん
コメント
6件
まさかの白玖と紫苑だったか!! めちゃくちゃ良き〜 続きをぉぉぉ!!!!!!
あぐ=( ̄□ ̄;)⇒(?) いいなーこれ…!私の心が打ち抜かれた…