翌日、少し曇った空の下私こと月宮 桃華と、早乙女さんこと早乙女 翠は天日山の麓に立っていた
「ねぇ、本当に行くの?」
流石に立ち入り禁止の山に入るのは少し躊躇ってしまう
「ここまで来ておいてやめるの~?」
「それはそうだけど…」
「それにもしかしたら表には出せないような残酷な儀式とかやってたかm」
「なにをもたもたしているの早く行きましょう」
「…宗教関連のことになると途端に意欲的になるよね…」
「いいじゃない別に」
「まぁね~、何はともあれ意欲的になってくれて良かったよ~」
なんか口車に乗せられた気分だ…
「来ないなら先に行っちゃうわよ~?」
「あ!ちょっと!待ってよ~!」
そんなやり取りをしながら山に入っていく
少し歩くと、2mはゆうに超えてるフェンスが見えてくる
「流石にフェンスぐらいはあるかぁ、どうする?」
「…あまり気は進まないけどよじ登るしかないでしょうね、幸い有刺鉄線は付いてなさそうだし。それともぐるっとまわって入れそうな壊れたフェンスを探す?」
「よ、よ~し、頑張ってよじ登るぞ~!」
(元からそのつもりだったんだけど…)
「…ロープあるけどいる?」
「いります!いります!」
早乙女さんが先にフェンスの中へ行き、それに続くように私がフェンスの中へ入った
少し曇っているとはいえ昼間なのに薄暗いことを不気味に思う
(懐中電灯持って来てて良かった~)
「なんか雰囲気あるね!」
「オカルトマニアのあなたにはちょうどいいんじゃない?」
「うん!なんか出そう!✨」
どこか楽しそうに言う早乙女さん
そんな話をしながら歩いていると突然目の前に鳥居が現れた
突然現れた鳥居に二人して驚いていると
「お姉さんたち外の世界から来たの?」
と言う声が聞こえ、声のする方を向くと10歳前後の女の子が鳥居の陰からひょっこりと顔を覗かせていた
「え、えっと」
突如現れた少女にたじろぐ
「ま、まぁ、そんなとこかなぁ~」
流石の早乙女さんも驚いているのか少し震えた声で答える
「ほんと?ほんとうに外の世界から来たの?」
「え、えぇ」
「そっか~、はじめまして!麗姫ね、麗姫っていうの!よろしくね!お姉さんたちのお名前は?」
警戒心を解いてくれたのか、鳥居の陰から出て来て自分の名前を名乗る
「私は、桃華って言うの」
「翠だよ~!よろしくね!麗姫ちゃん」
「桃華お姉さんに、翠お姉さん!よろしくね!ねぇ、お姉さんたちはこの先に行きたいの?」
「え、えぇ」
「やめたほうがいいよ?」
「え?なんで?」
「えっと、この先には麗姫が住んでる小さな村があるんだけどね、その…そこには、”鬼”がいるから…」
「「”鬼”?」」
ほぼ二人同時に聞き返す
「うん、鬼がいるの。それでも行くの?」
「えぇ行くわ」
「そっか…じゃぁ、気を付けてほしいことがあるの」
「気を付けて欲しいこと?」
早乙女さんが問う
「うん、その鬼にぜったいにつかまっちゃだめだよ、つかまったら連れていかれちゃうから」
「つ、連れていかれるってどこに?」
「わからない、ただわかるのはつれていかれた人は二度ともどってこないってことだけ…」
「そう、その鬼はいつ来るの?」
「それもわからない、とつぜん来て、とつぜん消えるの」
「わかった!気を付けるね!」
「うん、それじゃぁついて来て!あんないするから」
「うん!おねがいね!」
なんて会話が繰り広げられる中私はどこか違和感を覚えていた。
(…あれ?)
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