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同じ事を思ったのか早乙女さんも、麗姫と名乗る少女を訝しんだ目で見ている
まぁ、過去にも権力を持った人間に不都合な何かがあったから表舞台から消されたという事例はあるし、ここもその内の一つなのだろう。歴史の闇に葬られてしまった集落、何やらきな臭い匂いがする
などと考えながら、改めて麗姫と名乗る少女を観察する
おそらく年齢は10歳前後、真っ黒のロングヘアに血のように赤い瞳、服装は所々桜にが散りばめられた黒い着物。着物に関してはあまり詳しくないが、それなりに質の良い物だろう
(ここだけ見ればどこかのお嬢様みたいだ)
しばらく歩いているとほとんど壊れた家屋が見えた、それに続くようにちらほらと家らしき建物が見えてきたところで息をのむ
「…ふふっ」
ふと麗姫のいた方から笑い声が聞こえる、彼女の方を見るとそこには先程までいた少女ではなく全身が血で赤く染まった女性が立っていた
「ねぇ、お姉さん達はいつまで私を楽しませてくれるの?」
反射的に早乙女さんの手を取り、来た道を走り出した。一刻も早く下山しなければ…
(おかしい…)
いくら走っても一向にフェンスどころか鳥居すら見えてこない。体力の限界を感じ、どこか隠れられそうな茂みに隠れ、息を殺す
少しして、例の女性が通り過ぎる
「……行った…ぽい??」
早乙女さんの声辺りに響く
「…えぇ、多分…ね」
何度か深呼吸し少し冷静になったところで二人で頭の中を整理する
髪色や目の色などからそう推測できる。どことなく麗姫の面影もあったし
先程まで10歳前後だった人が少し目を離しただけで急成長するなんて人間ならまずありえない
そして最後に、
これだけ走ってもフェンスが見えてこないなんていくらなんでもおかしい、おそらくあの鳥居が境界線か何かだったのだろう
…今分かるのはこのくらいか
「…さて、どうしたものか」
「まさに八方塞がりってやつかな?」
「とりあえず、集落の方に戻ってみようか、何か脱出の手掛かりがあるかもしれないし…早乙女さん立てる?」
「うん、なんとか」
二人で走ってきた道を戻る。改めて見ると血と思われる赤黒いシミが建物の至る所についてる
「どこか入れそうな建物はないかな…?」
私達はかろうじて形を保てている家を見つけると、そこに入る。中はかなり荒らされているが雨風はしのげそうだ
「さて、少し休憩したら情報収集といきましょうか」