ウエストタウンにあるどこかの地下通路で、金髪の少女は走っていた。
少女は今年で14歳の誕生日を迎えたばっかりだった。薄暗い洞穴のような通路で、その少女の後を大きな靴音を響かせて悪漢が三人も追いかけていた。そこは身を切るような寒さの通路だった。
所々、寝間着一枚の少女の足にはかすり傷が浮き出ていた。息も絶え絶えで、少女の顔色はこの上なく青白かった。
少女はこの暗い地下の通路の行き止まりにあたった。命からがら真横へと逃げると小さな古びたエレベーターが見えた。だが、幾ら少女が上へとあがるボタンを押してもエレベーターは何も反応をしなかった。
悪漢がそれぞれ、斧を手に持ち下卑た笑い声を発しながら少女に近づくと……と、天井から一筋の光がエレベーターを差して、扉がゆっくりと開いた。
「おめでとうございます!」
本来開くことのないエレベーターから金髪の男が現れて少女を急いで、箱の中へと引っ張り込んだ。そして、エレベーターの扉を閉めると、エレベーターの扉の中から何かが飛び出し、悪漢たちの前に現れた。
「やあ、いらっしゃい」
銀髪の男は銀の大鎌で三人の悪漢の首を瞬時に狩った。
三人の首は鮮血を上げこの暗い通路の壁にぶち当たった。
――――
「やはり、このところ14歳の少女ばかりが狙われていますね……それもこの少女の右の手首には、今度は傷や刺青ではなく。聖痕のような傷がありましたよ」
「ああ……」
金色のオールバックの髪を掻き上げて困惑したオーゼムの声に、流れるような銀色の長髪のモートは無表情にこっくりと頷いた。
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