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サラサラな肩まである金髪をゆっくりと掻き上げて、アリスは屋敷でフィッシュ・アンド・チップスにビネガーを入れ、軽い朝食を摂っていた。今朝のサン新聞には、またもや首なし事件がウエストタウンで発生したと書いてある。このところウエストタウンを中心に三件もの首なし事件が起きていた。
アリスは憂いの顔で紅茶を口に運ぶと、この屋敷の唯一の使用人のヨボヨボの老婆が紅茶のお替りを持ってきた途端に悲鳴を上げた。
「まあ、アリス嬢ちゃん! 右の手首に傷ができてますよ! すぐに洗って消毒を……今、お湯を持ってまいりますね! いいですか、そのままでじっとしてお待ちくださいね!」
老婆はよろよろとキッチンへと向かった。
「あら? 痛みはないわ……一体? いつの間についたのでしょう?」
「アリス? どうしたんだい?」
窓辺の椅子からアリスはその抑揚のない声の方を向くと、一室の隅に忽然とモートが音もなく立っていた。
モートはアリスの手首を鋭く見つめるとすぐに険しい顔を作った。
「すぐにオーゼムに知らせないといけない……それは聖痕かも知れない……あの少女と同じく右の手首にあるなんて……」