け『まぜち、ごめんね…もう、僕のこと忘れて…?』
今にも泣きそうな顔に胸が締め付けられる
忘れてって言われても忘れられない
これは俺とあいつの7日間の物語だ
まぜ太side
け『おはよ、まぜち!!』
ま『朝からうるさ…おはよ』
け『朝からうるさいとはなんだ!!』
ま『…』
け『あ、ちょっと!!無視しないでよ〜!!』
いつもどうりの朝、いつもどうりの道
あいつが隣にいてくれて笑ってくれるだけで幸せだった
でも……
あいつは死んだ
小さい子供を助けるために車に引かれた
病院に着くころには息を引き取っていて即死だったらしい
俺は、隣にいながら助けることすらもできなかった
ま『け、ちゃ…?嘘だよな…っ、なぁ!!!』
泣いても叫んでも生きてかえってくれるわけない
なんで、なんで優しいあいつが死ななきゃいけなかったのか俺には分からなかった
?『…なーに泣いてんの?』
ま『…?』
知ってる声がした
俺の大好きなあの声
ま『け、ちゃ…?』
け『えへへ、まぜち!』
ま『っ…けちゃっ!!』
夢を見ている気分だった
夢でもいいなんて思いながら
俺はけちゃを思いっきり抱きしめようとした
でも…
ま『!?』
触れようと抱きしめようとした部分が泡となって消えてしまった
けちゃは苦しそうな表情をして口を開いた
け『…まぜち、僕は死んだんだよ。だからね、まぜちは僕に触れられないし、僕はまぜちに触れないの…』
ま『そ、っか…』
そうだ、けちゃは死んだ
触れられないのは当たり前だ
ま『…なぁ、お前は成仏しねぇの?』
け『…僕、成仏出来ないんだ』
ま『?』
け『未練が残ってて成仏できないらしいんだって』
ま『ふーん…』
け『僕ね、1週間だけ期限をもらってるんだ!
1週間経ってもし、未練がまだ残ってたら天国に行けないんだって。
だからね、まぜち!僕の未練を消し去るために手伝ってよ!』
ま『は…?』
け『だーかーらー、1週間だけ僕のわがままに付き合っててこと!だめ…?』
ま『っ…わかった』
け『やった!』
こうして、俺とけちゃの1週間が始まった
ま『んで、お前は何がしたいの?』
け『んー…あ、アイス!』
ま『ちょっ、まてって』
け『まぜち!!早く早くー!!』
けちゃはアイスに目掛けて走っていく
俺は少し呆れながらも追いかけた
無事アイスを買って2人でベンチに座る
け『ね、まぜちの1口ちょーだい!お願い!』
ま『しょうがねーな』
け『えへへ、ありがと!』
ま『ってゆーか、お前それ触れるの?』
け『んー、わかんない!…あ、触れた!』
ま『なんだよそれ笑』
け『んー、美味しい!!』
ま『良かったな』
け『うん!』
アイスを食べ終わり、たわいのない話をしているといつの間にか夕方になっていた
いつぶりだろう、時間が早く感じるのは
ま『そろそろ帰るぞ』
け『…うん』
帰ることを伝えるとけちゃは心無しか悲しそうな顔をする
ま『なに、悲しそうな顔してんの?』
け『んーん、またね!』
ま『またねって、お前も一緒に帰るんだろ?』
け『へ…?』
ま『なんだよ、その顔笑』
け『いいの…?』
ま『そのつもり』
け『へへ』
嬉しそうに笑うけちゃ
隣に並んで2人で一緒に帰る
家に帰ると俺はいつも通り仏壇の前に座り
けちゃに手を合わせた
け『…ねぇ、もしかして毎日してくれてるの?』
ま『うん』
け『嬉しい、ありがとう』
けちゃに感謝を伝えられた時、俺は何も言えなかった
いや、言う資格がないのだ
守れなかったこと、救えなかったこと
それが俺の中でぐちゃぐちゃになっていた
それから俺たちはご飯を食べて眠りについた
ま『っ…ゔっ』
あぁ、またこの夢だ
けちゃが俺を恨む夢
け(夢)『ねぇ、なんで助けてくれなかったの?自分だけ生きて図々しいと思わない?』
『まぜちが死ねば良かったのに…』
ま『ヒュッ…や、やめっ、ごめ…ごめんなさい…』
ま『ゔぅっ…ハッ…また、か…』
俺は本当に生きてていいのか、本当はけちゃの代わりに死ぬのは俺じゃなかったのか毎日毎日自問自答を繰り返している
け『ん、まぜちぃ…』
ま『あ、悪い…起こし…』
起こしてしまったと焦って横を見るとけちゃが幸せそうに寝ていた
け『ふへへぇ、もう食べれないよぉ〜ムニャァ…』
ま『ふっ、どんな夢だよ…笑』
幸せそうに寝てるけちゃの頭を俺は触れないようにそっと撫でた
それから、俺たちはこの5日間色々なところに行った
遊園地、図書館、学校、ショッピングモール
けちゃが生きていた時に2人で行ったどれも大切な思い出の場所だ
懐かしい気持ちになりながら2人でゆっくり歩いた
けちゃside
僕は死んだらしい
まさか自分が死ぬなんて思ってなかった
ま『けちゃ、なにか思い出せそうか?』
け『んー…』
ま『んーって…お前、あと少ししかないんだぞ』
け『わかってる』
期限がないことくらいわかってる…
でも、まぜちには絶対言えない
本当は自分の未練なんてわかってるなんて
僕は…僕はまぜちが好き
でも、一生言わないつもりだ
だって、絶対まぜちを困らせちゃうって知ってるから
もし、言ったって叶わない
け『…ねぇ、まぜち。もう、未練探しやめよっか!』
ま『は…なんでだよ、お前成仏出来ないんだぞ』
あぁ、怒ってる
でも仕方がないんだ
け『僕、もうどうでもよくなっちゃった笑
成仏出来なくてもいいかなって!』
け『ふっざけんなっ!!お前がどうでもよくても俺がよくないんだよ!!』
け『っ…もういいって!!…まぜち、ごめんね
もう、僕のこと忘れて…?』
ま『忘れるって…そんなこと出来ねぇよ!』
け『お願いだから…僕のこともう思い出から消して!!…まぜちはもう僕のいない世界で暮らすんだよ。僕と違って友達も沢山いるでしょ?
だからね、僕が居なくても大丈夫だよ。今までありがとう』
僕はまぜちの前から走って逃げる
まぜちは追いかけようとするけど、途中の信号で止まってしまった
その間、僕はまぜちがいない場所へ逃げた
け『あはっ…これでもう終わりなんだ…っ…ゔっ、…クズッ』
涙が止まらない、本当に終わってしまう
でも、これでいいんだ
あとは、僕が消えるのを待つだけ
まぜちは僕のことを忘れて幸せになる権利がある
でもね、叶うなら一緒に生きてずっと隣にいたかった
でも、もう叶わないね
け『…まぜち』
?『…はぁっ、やっと見つけた』
まぜ太side
けちゃが消えるまで残り数時間
俺は手当り次第、けちゃを探す
忘れてって意味がわからない
まだ伝えてないことだってあるのに
そんな思いを胸に俺はとある公園へ向かった
ま『…はぁっ、やっと見つけた』
け『っ…なんで…』
ま『だって、けちゃが何かあった時はいつもここの公園じゃん笑』
け『っ…』
ま『…で、忘れろってどういうこと?俺はお前のこと忘れたくねぇよ』
け『な、んで…』
ま『…お前が好きだから…じゃだめ?』
け『っ、僕はもう死んでるんだよ!今更好きって言われても困るよ!!』
ま『…そんなことわかってる…。でも、俺はお前が好きだ』
け『っ、まぜちのばかぁ…!!遅いよぉ…っ
ぼくも好き…ずっと、好きだったの…!!』
ま『そっか、それが聞けただけで嬉しい』
け『…ふふっ、僕たち両思いだったんだね』
ま『そうだな笑』
俺はポケットにしまってあったナイフを取り出す
けちゃはなにか察したのか俺を止めようとする
け『へ、まぜち…?だめっ、まって!!』
でも、そんなことを無視して俺は首を勢いよく切った
最後に見えたのはあいつの悲しい顔だった
その後、わかったことは俺は首を切って即死だったらしい
でも、それももうどうでもいい
だって…
け『っ、まぜちのばかっ…』
ま『うん、バカでもいい。今こうして、お前を抱きしめられてるから俺はいいよ』
け『僕はよくないのっ…ま、ぜち…』
ま『ん?』
グイツ、チュッ
ま『!?…け、ちゃ…///』
け『まぜち、愛してる…ありがとう…』
ま『はぁぁ…お前、まじでどこで覚えてきたんだよ…』
け『…?』
ま『俺もけちゃのこと愛してるよ』
そう言って笑ってキスをすると
嬉しそうにけちゃが笑い返してくれた
こいつがいない世界では俺はもう生きてはいけない
俺は一生こいつには敵わないんだ
そう、これが俺らなりのハッピーエンド
後悔なんて絶対しない
だって、これは俺が望んだ結末なのだから
コメント
3件
何故だ…目から汗が…!
まぜけゃ尊い.....ストーリーが神ってた!
うわー!!😭😭😭泣きました😭まぜけちゃが尊かったです…ありがとうございます…😭(?)