E「適当に座って」
えおえおの家についた俺は、とりあえず猫たちと戯れる。ソファに座っていると脚にすり寄ってきたり匂いを嗅いできたり。かわいい。
家の主人はと言うと、マグカップにコーヒーを入れてリビングに戻ってきた。遠慮なくカップに手をかけ、ちょっとずつ飲む。この年になるとコーヒーの苦味が沁みるんだよなぁ。
A「で、さ」
E「え?」
A「え、じゃねぇって。俺に何の用なの」
不思議そうな顔をして俺を見つめるえおえお。いや、俺のほうがその顔してぇよ。こんな時間まで呼び出して何なんだよ。
A「ほら、渡すもんあるんだろ?」
E「あー…」
なんだろう、うまいもんでもくれるのか?でもそれだったらあいつらがいる場で渡すんじゃないか?
ってことは俺だけに渡したいなにか…
E「…これ」
しばらくして俺の目の前に出された小さな箱。ラッピングまでされていた。
えっ…これって…
A「開けてもいいの?」
E「…ん」
A「なんかいい匂いする…」
きれいに結ばれたリボンをシュルシュルと解いてみると、中には凝ったデザインのチョコレートが入っていた。鼻の奥にふんわりと漂うカカオとフルーティーな香り。一つ一つ手作りのような、その繊細な見た目に驚いた。
A「なに…これ…」
E「えと…あろまに渡すために買ってきました…」
え?これを俺に?
いかにも、って感じのチョコを俺に?
そう考えると心臓が少し跳ねた。ぎゅっと握られるようなズキズキとした感覚。
なんだこれ…俺の心を読んでのことなのか…?
あり得ないそんなの…
E「…あろま?」
その声でハッとする。俺の顔色を伺うように困惑したような表情だ。何で渡した本人がそんな顔なんだって、冗談きついぜって言い返してやりたかったんだけどな。
A「ははっ…」
そんな乾いた笑いしか出てこなかった。
To Be Continued…
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