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3
放課後の教室。
窓から差し込む夕陽が、机の上を柔らかく照らしていた。
「ねえ、天白さんってほんとに髪きれいだよね」
突然そう声をかけてきたのは、
軽井沢恵だった。
ひなは少し驚いて目を瞬かせる。
「えっ、そ、そうかな……?」
「うん。めっちゃ白くてサラサラ。しかも顔も可愛いし、男子が放っておかないのもわかる」
その率直な言葉に、ひなの頬が赤くなる。
「そんなことないよ……」
近くで聞いていた桔梗ちゃんがにこっと笑った。
「ひなちゃん、本当にモテるもんね〜」
「き、桔梗ちゃんっ」
からかわれて、ひなはますます顔を熱くした。
その日の帰り道。
軽井沢さんの提案で、桔梗ちゃんと三人で けやきモール のカフェに立ち寄ることになった。
甘い香りのする店内で、
三人は窓際の席に並んで座る。
最初は少し緊張していたひなだったが、
軽井沢さんの明るく率直な性格のおかげで、すぐに打ち解けていった。
「天白さんって、男子苦手なんでしょ?」
ストレートな質問に、ひなは少し驚きながらも頷いた。
「うん……ちょっとだけ」
「でも、綾小路には普通に話してるよね?」
その名前が出た瞬間、
ひなの心臓が大きく跳ねた。
「えっ……そ、それは……」
しどろもどろになるひなを見て、
軽井沢さんと桔梗ちゃんは顔を見合わせる。
そして次の瞬間、二人は同時ににやりと笑った。
「やっぱり好きなんだ」
「ひなちゃん、すっごくわかりやすいよ〜」
「ち、違っ……ちがわないけど……!」
とうとう観念したひなは、
両手で熱くなった頬を覆った。
「へえ〜、綾小路ねえ」
軽井沢はストローをくるくる回しながら、
意味深な笑みを浮かべる。
「普段は何考えてるかわかんないけど、天白さんを見る目だけはちょっと違うかも」
「そうなの?」
「うん。あたし、そういうの結構わかるし」
その言葉に、
ひなの胸がふわっと温かくなる。
カフェを出る頃には、
ひなはすっかり二人と打ち解けていた。
女子同士で恋バナする時間は、
くすぐったくて、でもとても楽しい。
(こんなふうに笑える友達がいるなんて……)
中学時代には想像もできなかった。
寮へ戻る途中。
ひなが一人で廊下を歩いていると、
前方から 綾小路くん がやって来た。
「遅かったな」
「桔梗ちゃんと軽井沢さんとお茶してたの」
「そうか」
短い返事。
けれど、ひなの胸はまだ恋バナの余韻でいっぱいだった。
「……綾小路くん」
「なんだ」
「私、今日すごく楽しかった」
彼は少しだけ目を細めた。
「それはよかった」
そして、すれ違いざまに小さく付け加える。
「お前が笑っていると、安心する」
たったそれだけの言葉なのに、
ひなの胸は幸せでいっぱいになった。
友情が少しずつ広がっていく。
クラスの中に、自分の居場所が増えていく。
そして何より、
その変化を静かに見守ってくれる人がいる。
ひなの青春は、
恋と友情に彩られながら、
ますます輝きを増していくのだった。
コメント
6件
ひなで!!あずちゃんって呼んでもいいかなー?
初コメしつれいします! ひなちゃんと綾小路くんとの距離感が好きすぎます!! よう実の小説少ないので嬉しいです! 良ければ仲良くしませんか?
ひなさん、第29話お疲れさまです! 今回は女子同士の恋バナ、すごく可愛かったですね。恵ちゃんと桔梗ちゃんに「好きなんでしょ」って言われて、観念するひなちゃんの反応がもう本当に愛おしくて…。しかもそのあと、綾小路くんに「お前が笑っていると、安心する」って言われるシーン、胸がぎゅっとなりました。彼のこういう控えめな優しさが、ひなちゃんにじわじわ伝わってる感じが素敵です。 中学時代にはできなかった「友達と笑い合う時間」を今、こうして紡いでいるひなちゃんの成長もじんわり響きました。次も楽しみにしてますね🌷