テラーノベル
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ピンポーン、とドアのチャイムを鳴らす。
現在時刻午後6時。本来ならば待ち合わせ場所に立っているはずだが、今自分はフランスの家の前に居る。
「、、、出ない、、、」
2度目を鳴らそうと手を伸ばした時、丁度家の横、庭の方から声がした。
「イギリス!」
「あぁ、フランス、、、ってなんですかそれ」
振り向くとそこには、両手でバケツを持っている彼がいた。よっこらせ、と言いながら地面がコンクリートの部分に置くと、物置を行ったり来たりして何かの準備をし始めた。
まだ理解が追いつかず、置かれたバケツを眺めていると、少し離れた場所からまた声がかかる。
「それ水。消化用ー」
「え、しょ、消化用??」
「終わった後は絶対水に付けてねー、でないと燃え移っちゃうから」
「燃え、、、!?いやまだ全然分かんないんですけど、、、???、、、一体これから何をするんですか?」
物置を探る背中に声を掛けると、視線は向けられずに返事が返ってくる。
「いや〜去年の余ってて良かった〜!一度にいっぱい買っても使い切れないんだよねー」
「だから何の話っ、、、て、それ、」
目を向けると、じゃじゃーんとでも言わんばかりに満面の笑みのフランスが居た。
顔の近くに掲げられたそれは、随分と派手な包装の、手持ち花火のセットだった。
「、、、花火!やろう!」
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灯されたろうそくの火は、こんな時間でもまだちょっとだけ明るい夏の空に、よく映えていた。
「、、、火、ここから付けてってね」
「、、、それにしても、線香花火なんていつぶりでしょうか。あまりうちだとやらないので、、、」
フランスの家は少し古民家風で、広めの庭が付いている。地面は草が生えている所もあるが、基本的に石とコンクリートだ。うちにも庭はあるといえばあるが、ここまでではない。だから 昔はここでよく遊んだ。
今は昨日の雨のせいか、端の方が少し湿っている。連日までの大雨が嘘のように今日は晴れたのだ。
「ふっふっふー、ちなみにこれ、線香花火だけじゃなくて、先がぶわーってなる奴とか、パチパチする奴とか、途中で色変わる奴とかも入ってるんだなー」
「今の説明ほとんど分かりませんでしたよ、、、w」
「まあまあとにかく、花火なのには変わりないでしょ」
「それもそうですが、、、 ところで、そこに置いてある袋はなんですか?ずっと気になってたんですけど」
「あぁこれ?これはコンビニで買ってきたんだよ。ほら焼きそばとか、かき氷とか?まあアイス類は今冷凍庫だけど、少しでも祭り気分味わえたらいいなって。好きに食べていいからね」
「ありがとうございます。 、、、、、、あの、マカロンってお祭りにありましたっけ」
「そ、れは、、、ほら、マカロンが売ってる祭りだってあるでしょ(?)」
「、、、」(無言でチーズを取り出す)
「、、、やめて!何も言わずにこっち見んのやめて!!」
紆余曲折あり、落ち着いた所で花火を始めた。先程動画を撮って欲しいと頼まれたので、イギリスはしゃがんで携帯を構えた。
ろうそくの火に棒の先端を付けると、一気に光が弾ける。
「!!イギリス!見て!ほら、あれだよ、先がぶわーってなる奴!!ほらぶわーって!! 」
「お、落ち着いて下さい。ススキ花火って言うらしいですよ。それ」
「そうなの?」
「さっきググりました。」
「へー!いや僕これ好きなんだよねー。なんかさ、普通よりちょっと明るい感じしない?」
そう言われてみると、確かに他に比べて光の量が多い気がする。段々と空が暗くなって来ているからか、明るさが際立っていて、綺麗だ。先端から漏れる火花が色んな方向に飛び散って、辺りを照らしていく。眩しかったが、 それとはまた別の理由で、少しだけ目を細めた。
「イギリス!ほら見て!すっごい綺麗!!」
「、、、本当ですね」
光に縁取られたその笑顔は、 薄暗い中で、
花火よりも眩しく見えた。
「いやー、すぐ終わっちゃったなー。花火って儚い」
「まあ終わらなきゃ大惨事ですからね。あ、次私もやりたいです」
「どうぞどうぞ。取ってってー
、、、ねえ、どう?少しは楽しめてる?」
「、、え?」
「いや、花火大会の代替案として誘ったは良いけどさ、打ち上げ花火とはまた違うし。もしかしたら、、、、誘わなかった方がイギリスにとって良かったかも?ってさ、」
「、、、そんな事ないですよ」
「そう?」
「はい。誘ってくれただけでも嬉しいです」
「そっか。それは良かった」
「、、、そして何より、私の為に色々準備をしてくださったのが、嬉しかったです。なんというか私は、、、二人で花火を見たかったので」
「、、、イギリス、、、
、、、って何それ!?超珍しいデレじゃん!?えっちょ、もっかい言って!もっかい!」
「っあ゙〜もう!何で貴方はいつも、こう!」
「wwwやばい!!イギリスが僕に対してこんなに素直になったの初めてじゃない!?w」
「〜っ忘れてください!忘れて!なんかちょっと恥ずかしくなってきました!」
「えーいいじゃ〜ん!!もっかい言ってよ〜!」
「あーもううるさいうるさい、」
「うわ照れてる!!超レア!SSR!!ちょ、携帯携帯」
「とっ撮ろうとしないで下さい!カメラ向けるな!!〜っ、、、かくなる上は、、、!こうしますよ!!」
(何かが燃える音)
「ってうわあああ!!??ちょっ、イギリス!イギリスさん!?その、なんだっけ、ススキ花火持って来るのやめてww!!」
「いやーこの花火はいいですね!前方に攻撃が出来るので!」
「武器として使わないでww!いや別に熱くは無いけど絵面が怖ぇw!!」
「さあこれで懲りましたか!?あまり人をおちょくらないで下さいよ!」
「分かった分かった、ごめんって!一旦タンマ!!」
「はぁ、分かりましたよ。さすがに人に向けてやるのは辞めます。、、、でもこの他にも、武器になりそうな花火は入ってますからね。」
「うっわぁさすがにご勘弁を。」
「、、、あとこっそりカメラ回すのやめてください」
「ちっ、バレたか。、、、他の奴らに送り付けようと思ったのに」
「何考えているんですか!?全部削除しておいて下さいね」
「、、、どーっしよっかなー♪」
「あっ、絶対反省してない顔ですね!?待てこら逃げるな!!」
きっと来年は、別の場所で花火を見上げているかもしれない。それ でも、また庭で花火をやろう。花火だけじゃなく、もっと色んな場所に、二人で行こう。
今まで退屈に過ごしてきた夏休みを、これからは思い出で埋めつくしていきたい。
バラバラな二人でも、そう考えたのは同じだった。
その夏の夜はある家からの笑い声が、絶え間なく聞こえていたそうだ。
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後書きです!いやー毎回オチだけ思いつかない、、、もう無理やりよ
花火自体私も昔にやったっきりだから記憶をひねり出して何とか書きました。
ケンカップルな二人も好きだけど友達してる二人も好きです。今回はそれをふんだんに詰め込みました。付き合ってはないんでぶっちゃけイギフラ未満かもしれないけど、まあ幸せならOKです
余談ですが学パロ🇬🇧さんって帽子もモノクルもスーツも全部外されて紳士要素少なくなるの可哀想おもろいですよね
というわけで長文お疲れ様でした!よろしければ♡とフォローよろしくお願いします🙇🏻♀️
それではまた!(。・ω・)ノ゙
コメント
3件
( ゚∀゚)・∵. グハッ!!
めっちゃ可愛くて好きです……っ✨ なんか純粋?っていうか特別な感じ?っていうか言葉では表せないようなイギフラの関係でとても楽しめて読めました!
好、