垢消えによる作品リメイクです。
水×赤
赤「秋だよ、あいに来て。」
返事が来るはずもないのに、
秋の暮れを迎える度打ち続けるメッセージ。
また今年も、虚しく時が過ぎていく。
赤「…はぁ、」
スマホから顔を上げ、一つため息を吐く。
赤「ほとけっち、っ…」
かつて2人で過ごしたこの家も、
あの忌々しい事故からは埃が積もる一方。
丸一年、家主不在のこの家は、
俺が几帳面に整理していた頃の面影も無くし。
赤「…あれが、無かったら。」
…彼と俺が別々になるきっかけの、
あの事故さえ無ければ。
赤『ねぇっ、どこ行くのっ!?』
水『んー?それ言ったら全然楽しく無いじゃん?笑』
赤『それはぁ…』
水『ま、着いてからのお楽しみっ!』
赤『えぇーっ!?なんでよぉ!』
…俺の誕生日の、前日だった。
彼の誕生日に、俺が彼に告白したんだ。
喜んで、彼は承諾してくれて。
水『ぜーっったい、誕生日にもらった分の倍、お返しするからっ!』
…なーんて、彼は言ってたっけ。
なのに。
赤『…っ!?ほとけっち、横ッ…ッ!!』
水『…よ、こ…?』
水『…っあ、…ッ⁉︎』
赤「っ、う”…」
赤「…やなこと、思い出しちゃった…w」
助手席側から突っ込んできたトラック。
意識を失う前に、最後に目に映った
血のように赤い彼岸花。
…俺とほとけっちは、別々の場所に運ばれたらしい。
それで、彼は記憶を失った。
赤「…まぁ、過ぎたこと…か。」
11月16日。
…俺と彼の記念日で、彼の誕生日。
そして、彼が記憶を取り戻す日。
赤「…今年も、会いに行こうかな。」
赤「ほとけっちー、?」
ひょこ、と病室に顔を出す。
いつもなら、ぼーっとした表情で外を見ている筈の彼が、
何故か今年はしっかりとした表情でこちらを見やる。
水「りうちゃん、」
水「…ひさしぶり。」
赤「久し振り、…元気してた?」
水「…ん、まぁね。」
…その瞳は、何処か迷いが浮かんでいて。
赤「…ほとけっち、どうしたの?」
水「…んーん、…」
水「…りうちゃん、外出ない?」
赤「外、?」
…おかしいな、って思った。
記憶を失って以来三年、
ずっと外に出ようとはしてこなかった彼。
水「…はやくー、!」
…それが、なんで今になって出たがるのか。
赤「…、待ってよ…、w」
まあ、元気そうなら良かった。
そんな甘い考えで、外に出た。
赤「ほとけっちー…?」
水「ん?」
赤「…なんか、ここ…怖い…っ」
連れてこられたのは、一面黄色の…
イチョウに包まれた路地。
赤「ねぇっ、イチョウ…やだ、」
赤「ほとけっち…っ(クイッ」
早くこの場を離れたい。
その一心で彼の袖を引っ張る。
水「…」
赤「ね…、」
いつもならわがままを聞いてくれる筈の彼が、
なぜか今日はここから動かない。
水「りうちゃん。」
赤「ゃっ…、」
凛とした目でこちらをみやる彼。
水「りうちゃんはさ、」
やだ。それ以上言わないで。
知らない。俺は、
水「…もう、死んでるの。」
嘘だ。
水「…存在しないんだよ。」
違う。
水「…イチョウが怖いのも、年に2週間、この時期にしか僕と会えないのも。」
水「りうちゃんは、もうあの事故で死んでるんだよ…ッッ、っ…」
彼の目から零れ落ちた雫。
ねぇ、俺のせいで泣いてるの?
…拭おうとしても手が動かないのは、なんで?
水「りうちゃん、ッッ…」
水「愛してるよ、」
最後に聞こえた気がした。
黄色に霞む視界に、一枚のモミジの葉が舞っていた。
イチョウの花言葉…鎮魂
もみじの花言葉…大切な思い出
やっぱり前垢で投稿してた方が好きだし、意味分かりやすかったなぁ…
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!