⚠ キス表現🈶
『もう寝ましょうよぉ……』
「オレ○○眺めるので忙しいから先寝とけよ」
そう、ニヤつきながら私を見つめるイザナさんを精一杯睨みつける。せめて目だけでも逸らしたいが顔をイザナさんの両手でガッチリと掴まれているためそれも叶わない。
こんな状況でまともに睡眠なんて出来るわけない、と胸の内側にため息が宿る。
「…なァ、オレ深夜で頭おかしくなってンのかもしんない」
『え?』
イザナさんはそう言ってそれまで見つめ合っていた目を逸らすと申し訳なさそうな、興奮しているようなどっちともつかない不思議な口調と表情でそう告げる。
貴方はいつもおかしいじゃないですか、という問いを急いで飲みこみ、代わりに困惑の息が唇のすき間から流れ落とす。
処理の追い付かない脳に酸素を送り届ける様に私はすぅっと息を大きく吸う。冷たい空気が肺をチリチリと細い針を突き刺すように攻撃する。
「嫌だったら殴るか蹴るかぶっ叩くかして。」
『え?』
何を言っているんでこの人は。
困惑で思わず眉間を歪ます私の唇に、驚くほど柔らかな何かの感触が伝わった。
目の前にはイザナさんの顔がほぼ0距離で見える。顔を覆うように置かれていた手がいつの間にか後頭部を押すように置かれている。
『…ぇ』
その一文字以外口にすることは出来なかった、なぜならイザナさんによって口を塞がれてしまっているから。
『…ぅ…ぇ…?』
キスされた、そう理解した途端、「焦燥」「困惑」「恐怖」「驚愕」、その他諸々の感情が突風の様に一気に襲い掛かって来て、熱湯のような熱い感情が胸へ突き上げてくる。
唇から伝わる生々しい感触と、息のしづらさから抜け出すよう急いで歯を食いしばり、首を振り、イザナさんから離れようとする。が、後頭部を強く押さえつけられているせいで全く動けない。酸欠で頭が真っ白になって、ぽかんと抵抗することすらも忘れてしまった。ただただされるがままになってしまった私とは反対にイザナさんからのキスは段々とヒートアップしていき、そのままゆっくりと布団の上に優しく押し倒されていく。柔らかい毛布の感触が頭を包み込む。
そろそろ本当に死んでしまう、と死を覚悟した瞬間
『…ん、っ…。』
やっと唇が離れ、新鮮な空気が肺に行きわたる。時折新しい空気が喉につっかかってしばらくの間少し咳込んでしまう。
『……なん、で………』
やっと出た声は震えていた。
『…こんなこと』
顔が熱い、心臓が何度目かの早い脈を刻んでいる。
「好きだから」
そういうイザナさんは
悲しそうに笑っていた。
続きます
♡→150