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#うりさん
ろのみ🩵🫧
43
19
#年上彼氏
おうか

252
ショートなんて、そんな勇気もなく結局ミディアムボブ。久しぶりに、長めではあるが、前髪を作った。それに、カラーも少し明るい色に。
この髪型見たらなんて言うかな、なんて。
結局、一緒に土曜日過ごせなかったな。
なんて。つい考えてしまう。
ああ、そんな歌あったな。心の中で歌う。ふん、今時どこの会社も週休2日制だし。デキる男は、休日は家事してんだよ。
あーあ、服買おうかな。今度は年下狙うから、若く見えるやつ。それとも……逆に大人っぽく攻めるか?
うーん……それとも……着まわしのきく……。
二着持って吟味する。
「俺、右」
「え、そう? 」
ん?
そー……っと振り向く。
そこにはプライベート仕様の二宮くん。
サイドを刈り上げ、トップは長め。おしゃんな髪型にロゴの入ったオーバーサイズのサマーニット。少し折って足首出したパンツ。
どっかから、抜け出して来たような人がいる。
「君、フォロワーは何人だね? 」
「はい? やってないけどSNS」
「意外」
「DM来て、めんどいから、消えた」
イケメンだからなぁ。
「私、やってるけど」
「死にアカだろ? 」
分かんないけど、言いたい事は分かる。
「はは」
「似合うね」
私の切りたての毛先を弾ませるように、触れる。
「あっ、若く見える!? 」
「あー……はは」
に、濁されたー!
「2個しか、変わらね」
「3つでしょ」
「俺、大学卒業すんの5年かかってるから2つ」
「わぁ、留年? 遊びすぎ! 」
「休学して海外行ってたんだよ」
わ、結構真面目な理由。
「へぇ、どこ?」
「イタリア」
……
……
|caspita《わぉ》!
「行きたいんだよね。綺麗だった? 2週間、休み使って行こうかな」
「案内、しようか? 何が見たいの? 」
「……仕事しなさい。あなたは」
「それ、買うの? 」
「うん……若者の趣味汲み取ろうかなー」
「何だ、それ」
「年下はフリー率が高い」
「……だから、付き合おうって言ってる」
「今は……いいかな」
「待とうか? 」
「怖いわ、もう」
「いつまで? 」
「いや、付き合わないよ」
「何で? 」
「これ、買ってくる」
逃げよ、怖い。押しきられそうで怖い。
とはいえ二宮くんが良いって言った方をレジへ持っていく。
「で? 」
おう、逃げれない。
「好きな人がいるの」
「ああ、チャラそうなイケメンとオットコマエの部長どっち? 」
わぁ、バレ……
どっちも強ち、間違いではないあたり……。
「部長」
って言っちゃうあたり。ダメだな。
「あー、そっか」
「で、どうする? 」
「付き合わないってば」
「いや、今から」
「帰るよ。今、そんな気分じゃ」
「オッケー、行こ」
聞いてんのか、こら。
てか、どうする?じゃなくて……がっちりホールドされて
連れて行かれたのは……
────
「ギャー!!!!」
身体とは別に内臓だけが宙に浮くような感覚……。
「もっと、色気ある声、出せないの? 」
そう言われながらも、またどんどん上がって行く。
「やだ、ちょっと怖い、怖い、高い、高い。ギィーーーーーャー!!!!」
切りたてのセットされた髪は、もはや原型を留めていない。
「まぁ、叫ぶってストレス発散だよね」
まだ涙目の私にそう言った。
「苦手なのよ、絶叫系」
そんな私を無視して、写真を取る。
「ちょ、今の顔は止めてよ」
「いいねぇ、映える」
「ちょ、SNSしてないって言ったのに! 」
「アップしーちゃお」
「止めてよ! ちょっと!」
「あはは! その顔!」
次々に絶叫系に乗せられ、ぐったりしていた。
誰にも会いたくないってのに、なぜか日曜の遊園地に居た。
ベンチの背もたれに両腕を乗せて、笑ってる……まぁ、彼が一番映えている。
私の乱れた髪を整えると、もう一度写真を取る。彼も……入って。
「アップしてい? 」
「……ダメ。誤解される」
「誤解じゃなきゃいーじゃん」
「はぁ? だから……」
背もたれから、背中を上げたと思ったら、もう、触れていた。
私の唇に……彼の唇……が。
「ちょ、本当、待って。こんなこと、する? 」
慌ててキョロキョロする私に
「周りが気になるからダメなの? 」
「いや……そうじゃなくて……」
「俺の事好きじゃない? 」
「好きな人がって言った」
「わからず屋だなぁ」
へ?何が
「ちょっと、君ねぇ」
もう一度私の写真を取る。
「どれがいい? アップすんの」
「どれもダメってば」
「ふーん……じゃあ、匂わせにしとこ」
「はぁ!? 君なんて匂わせなくてもリア充だわ。彼女いるに決まってるでしょ」
「ああ、それってOKの返事? 」
がっかり。
「あのねぇ」
「はは! 」
「とにかく……」
「もっかい、ちゅーしていい? 」
「話を聞け! 」
「その前に、俺の話聞いて? 」
「何よ」
「ウサギ触りに行っていい? 」
すぐそこの小動物ふれあいコーナーを指差して言った。
「あ、うさぎ。うん、行こう」
ふわふわしながら、話されると、怒りも収まるってもんだ。
「かぁわいー。ねぇ、ほら。この目」
「ふわふわだなー」
軽くてふわふわで暖かい。膝に乗せたまま、癒されていた。
また写真を撮る二宮くんを睨む。
コメント
1件
古書研究のリオンです。第9話「side M」、読み終えました。 まず冒頭のヘアカットから始まる日常感と、そこに突然現れる二宮くんのギャップがすごく良かったです。SNSやらないのに「死にアカ」って言い当てられる空気感、わかります。それから「似合うね」の毛先を触る仕草――あれ、一瞬で距離を詰める二宮くんの手際の良さが滲んでて上手いなと。 遊園地パートの「ギャー!!!」と色気ある声を要求されるミスマッチ、笑いました。でも最後のうさぎコーナーでふわふわしながらも写真を撮られて睨むところ、あの流れで怒りが収まっちゃう主人公の心の柔らかさが伝わってきて、自然と応援したくなりました。次も気になります。