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誠とめぐみは2人、近所の山の中にある古い神社に行った。リレーの練習は終わっている、相撲の稽古である。
「じゃあ早く着替えてこいよ」
「え、あ、うん」
めぐみが着替えに木の裏に隠れた、その時に1人になった誠は1人考えていた。
(この思春期真っ只中の女子に触れていいのか、いや、ダメだよな、でもそれだとなんにもできないし….いや、周りの木を使って….)
しばらくすると体操着をきためぐみが出てきた。
「ごめん、お待たせ!」
「あぁ….いや、これも….んー」
「誠くん?」
「え、ああ、どうした?」
「どうしたはこっちのセリフよ、着替え終わったわよ」
「よ、よし、早速始めるか」
「うん」
「でも、まずは何すればいいんだ….」
「私がやりたいやつやるから誠くん相手になってよ!」
「は?!」
「え?」
「いや、だって、その….」
「どうしたの、誠くん変だよ?」
「あ、ああ、ごめん」
「じゃあちょっと待って、土俵描くから」
「あ、うん」
いいのか、なぜめぐみが拒否しないのか誠は不思議でならなかった。普通はこっちが言っても断るはずだからだ。なのに向こうから相手になれと言われた、思春期の女子がこんな大事なこと気にしないのか….
言っては悪いがめぐみは見た目が全て完璧だ、全体的にガタイがいいのは構わないのだが胸もあるのだろう、その部分だけ体操服がでっぱっている。
「出来たよ、やろ?」
「あ、おう」
「じゃあ私が合図するね」
「あ、おっけい」
仕切り線の前でお互い手をつく。誠は覚悟を決めた、ここまで来ては恥じる必要も無い。真剣に戦おうと決意したのだ。それに相手は相撲経験ありのめぐみとはいえ女子だ、男である誠としては負けたくない。対してめぐみは….なんだか様子がおかしい。
(どうしよ、誠くんを投げるなんてできない….なんで、やっぱり私誠くんのこと….)
「おい、早く合図かけろよ」
「あ、うん、ごめんね」
(なんか勝原顔赤くね?)
「はっけよい、のこった!」
「えっと、どうすればいい」
「え、誠くん相撲やったことないの?」
「え、あるけどいいのか?」
「え、うん、早く!」
「わかった」
ドスッ
共にがっぷり四つに組み合う。
(まじでいいのかよおい、やべえ女子と組んだの初めてだー)
(おっと、そんなこと言ってないで押さねーと)
しかし次の瞬間、景色が変わったかと思うと背中の痛みと共に目の前は空になっていた。
「いてて、あれ、俺….」
「誠くん、お願いだからもう少しだけ早く動いて欲しいかな」
「あ、おう、わかった!」
(ちくしょう、負けちまったのか、次こそは!)
誠も負けじと動きを早くしたり強く押したり様々なことをしたがめぐみには勝てなかった。
「か、勝原、少し休憩にしないか」
「そうだね、じゃあ10分」
「なあ勝原、お前さ」
「ん、どしたの?」
「う….」
振り向いためぐみの顔を見て何も言えなくなってしまった。可愛すぎる。ポニーテールからハーフアップに変え、少し汗をかいためぐみが可愛くそしてキラキラと輝いているのだ。
「なぁに?」
「あ、あのさ」
「勝原はなんでそんな遠慮がないんだ」
「何に対して?」
「いや、さっきだって普通男子と組むのは年頃的に嫌じゃないのか?」
「え、考えたことも無いな….」
「お前それ本気か?」
「え、うん」
有り得ない、中1と言ったらもう男子のボディータッチなんてアウトのはずだ。クラスメートの女子にやってでもしたらボコボコどころの話じゃなくなる。なのに彼女は考えたことがないだと….
「じゃあ例えば俺がお前と肩組んでもいいのか?」
「え、うん、いいよ!」
笑顔で返すめぐみ。
「あー、でももし他の男子に触られたら少し嫌かも」
「あ、ああ、やっぱりそうだよな」
「いや、なんだかわからないけど、誠くんは大丈夫なんだよね」
「は?」
「え、いや、なんでもない笑」
これはもしかして….
「さ、練習やろ!」
「あ、お、おう!」
「もう少しだけ早く!」
「こうか?」
「そう、で私がこう!」
「投げるならもう少しこうした方が」
まためぐみと誠の相撲の稽古が始まった。運動会まであと2日、大会まであと3日。リレーと相撲の両立は果たして上手くいくのだろうか。