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「わかった。セイは異世界から来た奴で、それで色々出来るってことだな」
翌日、昼までかけて色々と説明した。リゴルドーの家で家電とか見せたり、地球産のあれやこれやを見せたが、どうやらあまり必要なかったみたいだな。
「こうも無条件に信じられたら、逆に怖いな」
「無条件?何言ってんだ?お前が俺を前へ進ませてくれたのに、そのお前を信じないわけないだろ?」
うん。もう主人公諦める。聖奈さんかミランかライルでいいよ。
そんな何処かの海賊王が言いそうな台詞を言えるアンタは立派だよ。
「それで俺に全部を話したってことは、何かやらせたいことがあるんだろ?」
「うーん。先を読まれて話をされると言い出しづらいが…そうだな。ライルには商人もして欲しい。
俺達はライル以外が全員商人兼冒険者兼旅人だからな。
それにダンジョンにずっといるわけじゃない。もちろんAランクは目指すけど、限界まで進んだら、攻略出来る出来ないに関わらずエトランゼを出る。
一番の理由は、ライルに冒険者以外の事を知って欲しいってことだけどな」
俺の言葉にしばし考え込んだ後、ライルが口を開いた。
「俺が商人ってのは似合わなさ過ぎて想像できないけど、セイがそう言うならやってみるわ。どうせ冒険者なんてずっとは続けられないからな。
後、旅人ってなんだ?」
こいつ俺が言ったら何でもするんじゃないか?悪い事をしてないのに何故か怖くなって来たぞ……
「旅人は世界を見てまわるってことだ。俺と前にあった聖奈がこの世界で一番したいことだな!」
「ますますわからん。まぁセイがしたいことなら楽しいんだろ?」
「それは確約しよう。今までに見たことない景色を一緒に見よーぜ!なんたってダンジョンに来た理由も旅の一環だからな!」
「ダンジョンが、か。旅は命懸けなんだな」
なんかよくわからんがOK貰えたならいいや。
「だが、俺に商人が出来るのか?報酬を分けていたから簡単な計算は出来るけど、それじゃダメなんだろ?」
「安心しろ。ウチの商会は人材育成に定評があるんだよ」
そんなもんないけど。しかし、俺は自信満々に不確定な事を言ってやるぜ!
そんな訳で、俺達は水都に移動した。
ここでなら子供達が独自に授業をしているからな。
「はーい。一つ650ギルの瓶が7つで4,550ギルです!」
おっ!正解だ!あの子はまだ8歳なのに凄いな!
「セ、セイ!なんだコイツらは!?天才か!?」
「この子達も最近まで計算出来なかったんだぞ?ライルも頑張れば、2ヶ月であれくらいは出来る様になるぞ」
まぁ算数だけをしているから、この子達はもっと早かったけど。
ハードルは低い方が飛べるからな!
「そ、そうか。よし!やってやる!」
「頑張ってくれ。俺は素振りと店のことをしているが、たまに教えに来る」
まぁ寝るとこがないから夜は毎日一緒なんだけどな。
俺はリリーが仕事(護衛)を終えるまで、荷運びや素振りをして過ごした。
荷運びがない時は屋敷でライルや子供達に勉強を教えて過ごした。子供達は既に算数や文字は出来ているから、他のことも教えた。
それにしても凄い。子供達は聖奈さんが作ったドリルがあるとはいえ、独自に授業を開いている。
年長組は昨日は生徒だが明日は先生と役割を変えていた。ライルが言うように、ホントに天才かもな。
俺は素振りをしたり、リリーに稽古をつけてもらったりしながら過ごしたが、毎日どこかにアザが出来ていた。
鍛錬中は身体強化を使わずに木剣を使った。二日に一度は筋肉痛になったが、かなり体力と筋力がついた。気がした……
あれから一月半の時間が経った。
夜、いつも通り地球に戻った俺は、日課になってしまったメールをチェックしていると……
『空港に着いたよー!迎え待ってます。貴方の愛しの妻より』
結婚した覚えがないから迷惑メールだな。
「今から行きます」っと。
メールを返信した後、空港まで車を走らせる。
今日俺が帰らなかったら、いつまで待つ気だったんだ?
まぁ聖奈さんの予定通り動いてるから信頼か?
違うな…躾済みのペット扱いだな。
「おかえり。どうしてたんだ?」
空港で聖奈さんを拾った後、車内で聞いた。
メールで聞いても答えてくれなかったからな。
「説明が二度手間になるから、それは向こうについてからね。それより聖くん。なんか大きくなってない?」
「気付いたか?この一月半で大分筋肉が付いたんだよ」
「まぁ元がガリだったもんね!」
それは言わないで……
酒ばかり飲んでて、お金なくてロクなもの食べてなかったんだもん……
マンションへ帰る前に、遠回りだが会社に寄って土産や指示書を置いてきた。
マンションに帰ると、善は急げとリゴルドーの家に転移してから水都へとやって来た。
「みんな元気だったかな?」
聖奈さんは爺さんとリリー。そして、新メンバーのライルに挨拶をした。
「フォッフォッ。年寄りはそうそう変わらんわい。変わったらあの世じゃな」
爺さんはシルバージョークを・・・
「残念ながら子供はまだだな!」
リリーは新婚ジョークでそれぞれ返した。
「よう。期待していいんだな?」
「もちろんだよ!多分セイくんから今までの話を聞いたと思うけど、それは過去の私だからね!」
聖奈さんは髪を切ってイメチェンしていた。
まさかそれが変わったところとか言わないよな?
俺なんかソフトマッチョになったんだぞ!
「聖奈。ミランとエリーがまだ帰って来ていないんだ。何か知ってるか?」
「知らないよ。何となく想像はつくけどね」
ならそれを教えてくれよ……
「なぁ?どうせ待たなきゃないけないんだから、知ってても知らなくても一緒だろ?
それより俺は最近割り算が暗算で出来る様になったぞ!」
「ライルが頑張っているのは知ってる。楽しそうだから何よりだ」
何だかライルは最近楽しそうに授業に参加している。出来なかったことが出来る様になって、楽しいんだろうな。
俺はみんなと違って、出来ることは増えていないからな。
底上げは出来たけど。鍛錬は未だにキツい……
慣れたらリリーが難易度をあげるものだから、いつまで経っても自分が変わった気がしないんだ。
「セイは疲労困憊で毎晩泥の様に寝てるもんな」
「セイくん、ついに泥に進化したんだね!」
聖奈さんは元々の俺をなんだと思ってるんだよ。泥なら退化だろ。
「今日はどこで寝る?」
「えっ?セイくん達は?」
「俺達はエトランゼの家で寝泊まりしている」
リリーの部屋でもいいしリゴルドーの家もあるし、選り取り緑だからな。
「じゃあ、私もそこで!」
「ダメだ。ベッドが二つしかない。俺は男同士で寝る趣味はないからな」
「何言ってるの?セイくんは私と寝ればいいじゃない」
ダメだ…コイツは何も変わっちゃいなかった……
ホントに変わったのは髪型だけの可能性が捨てれんな……
「却下だ。聖奈はここに泊まるんだ。明日の朝また来る」
俺は有無も言わさず、ライルとリビングを出た。
「あんなぶっきらぼうにして良いのか?奥さんなんだろ?」
「…それは向こうで説明する」
俺達はエトランゼに転移した。
はぁ。面倒だな…説明するの。
「なんだ。じゃあ、誰ともそういう関係じゃないのか?それはそれで珍しいな」
うん。何か修学旅行のノリの会話みたいな感じだけど…何だか男としてダメ出しされている気がしてならない。
「まぁ、それはいいんだ。兎に角、変な気は使わなくていいからな」
「元々使える気なんてねぇよ」
だけど、ミランに手を出したら許さん!
「明日からはどうすんだ?」
「聖奈が戻って来たとしても、やはりまだ戦力不足だと思う。ミランとエリーが戻ってくるまで待ちたいがどうだ?」
「リーダーはセイだ。任せる」
おいっ!任せるキャラは完全に俺だぞ!やめろ!区別つかなくなるから!
「わかった。じゃあ明日からもこのままだ。いつ迄かは聖奈にも相談しなくちゃいけないから、今日はもう寝よう」
俺はクタクタだ…明日からもまた鍛錬か……
「じゃあ、キリ良くあの日から2ヶ月でどうかな?後、半月程だしね。私はこっちでもむこうでもすることが山積みになってるから忙しいしね」
翌朝。聖奈さんにダンジョンの攻略は二人を待ちたいがどうするか聞いたら、この通りだった。
決断が早くて助かる。よっ社長!
「わかった。そうしよう。話は変わるけど、何で汗かいてるんだ?」
「ごめんね!臭う?トレーニングの一環で、朝のランニングは欠かさない様にしてるの」
「いや、俺も毎日汗だくになるから気にするな。それに俺と違って臭くないしな」
何で男は汗臭くて女性は爽やかなんだ!?
いや、性差じゃないな。じゃあ見た目かっ!?もっと理不尽だぞ!
そして結局。
俺の地獄のトレーニングは、まだ続くことになった……
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聖奈「チェストが開けられてる…」
聖 (ドキッ)
聖奈「聖くん。私のパンツに興味があったの?」
聖「何の事だ?チェストなんて触ってないぞ?」
聖奈「ここにシャーペンの芯を挟んでおいたの」
聖(しまった…デ◯ノートかよ…)
聖奈「なーんて。聖くんが私のチェスト漁るわけないよね」
聖「そ、そうだぞ!信用してくれてありがとうな!」
聖奈「漁るならミランちゃんのだよね!その時は一緒だよ?」
聖「うん。もうイヤ…」