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#一次創作
ruruha
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「で?」
短い問いかけに、アーウィンは微かに眉をひそめた。
「姉ちゃんは央魔になったよ。あんたの目論見通りね。それで?」
「…………」
「俺思うんだけどー」
ソファの上であぐらをかく。
「姉ちゃんの友達を地下に放り込んだのって、あんたの発案じゃない?」
「……なぜ」
「アーシュラの行動だって、考えるには無理があると思うから」
アーウィンが物憂いながら、体ごとこちらに向き直った。
フレディはそれを、続けろという意味だと解釈する。
「姉ちゃんは大事に大事に大事に甘やかされて育ってるもん。基本受け身だ。”影”が分離している状態なら、なおさら自分から動こうとしない。拠り所を全部絶ちでもしない限りね」
「…………」
彼の表情を見守りながら続ける。
「友達を犠牲にするっていうのは最悪な方法だけど、姉ちゃんを動かすにはすごく効率的な方法だった……。だけどその方法が『効果的』だってアーシュラが気付いてたんなら、こうはならなかったと思わない?」
「どういう意味だ」
「そもそも友達の存在が大きいものでなきゃ、この策は効果的にはならないってこと!」
「ふん……」
「そんでアーシュラが気づかなくて、あんたが気づいてたことがもうひとつある」
「なんだ」
「姉ちゃんが友達を犠牲にしたのが誰か知ったらーーただ泣くだけで終わってくれるほど、穏やかな気性でもないってこと」
そう言って、フレディはニヤッと笑った。
「あんただって、バレたらまずいんじゃない?」
「それが事実かどうかはともかくとして」
アーウィンは、あくまでとぼけ通すつもりらしい。
推論だと釘を刺した上で、挑むようにうっすら笑う。
「バレやしないさ。おまえさえ黙っていれば」
「しゃべるかもよ?俺、姉ちゃんには甘いもん」
「授血」
「!」
彼の発した短いキーワードに、うっと口をつぐんだ。
「央魔の血で生き返ったなんて”村”に知られたら、次期大老師と言えども流石にお咎めなしでは済まないさ。悪くすれば、お前とて狩られる立場だ」
「うえ……」
ぐうの音も出ない。
流石に立場上、狩られるまではいかないと思う。
それでも、非常に鬱陶しい監視や制約が発生するのは間違いない。
恐らく現場にも立てなくなる。
この歳で隠居だなんて、ちょっと勘弁してほしい。
やりたいことも、やらなきゃいけないことも、まだ何もやってないのに!
唸るしかないフレディに、アーウィンは満足そうな表情を浮かべる。
その後、「推論」に話を戻した。
「策の犯人を知ってレナがどう反応をしようと、アーシュラには大した問題でもないだろう?受け入れればよし、拒むならねじ伏せて血を頂けばいいだけだ。例えレナが怒り狂うと分かっていても、回避するほどの脅威じゃない」
「でも、結果は違うでしょ」
悔しかったので、仕返しにその反論を素っ気なく遮る。
「たぶん、アーシュラは油断してた。抵抗されることは予測済みでも、姉ちゃんが自分に牙を向くとまでは思ってなかったんだ。彼女はどれだけ姉ちゃんにとって友達の存在が大きいこと、まるで分かってなかった。姉ちゃん本来の性格も。分かってたら、アーシュラが油断して死んだはずない。だけど分かってなかったんなら、友達を犠牲にするのが効果的だなんて気づくはずない。そうやって考えると、矛盾するよね?てことはつまりーーやっぱりあんたの発案なんだよ。そんで、これはあんたのシナリオなんだ。大体思った通りなんじゃない?」
彼は興味なさげな顔で、窓の外に顔を向けた。
「でもさ、どうしても不思議なんだよねー」
答えが返ってこないことを確信しつつ、フレディは天井を仰ぐ。
「なんであんたはそこまでするわけ?」
冥使は普通人間よりも身体能力に優れ、個体差はあるものの霧化や催眠の能力などを備えている。
しかし、央魔はそれらの能力を有しない。
そのため強力な血を与え、呪縛することにより他の冥使を隷属化してその身を守ってもらう。
それが守り役と呼ばれる、央魔の血に縛れた冥使だ。
アーウィンの行動は守り役のそれに近い。
だが守り役は、あくまで央魔が血を与えてから生まれるものだ。
ヒナを央魔にしようと画策する守り役などあり得ない。
それにただ単にレナ個人を募っているのなら、彼女の無事や生存を一番に持ってくるだろう。
それしてはアーウィンの行動は、ひどく乱暴なところがあった。
例えレナが傷ついてもーー最悪、死んだとしても構わないとでも言うような。
央魔になること以外の選択肢を排除しているようにも見える。
ベッドに白い肌の、小さな少女が眠っている。
唇だけがやけに赤い。
音もなく瞼を開くと、琥珀の色の瞳がふわりと赤く光った。
コメント
1件
うわああああこの回めっちゃアツい!!!😭🔥✨ フレディの推理、めっちゃ鋭いし、アーウィンが余裕ぶってるのに実はどんどん詰められてく感じがたまらん…! 「姉ちゃんが友達を犠牲にしたの知ったら穏やかじゃない」のところ、ドキドキしたよ…! ラスト、琥珀の瞳が赤く光るレナの覚醒シーン、もう次が待ちきれないよ…!完全に沼った…🫶💕