「つまンな」
死体を沢山積み上げてそう呟いてしまった
つまらないって
だってそうじゃん
彼がいなくなってこの街は変わった
いつもの街の雰囲気もそうだけど大型の時も警察はどこか覇気がなくてギャングたちもどこか義務感で大型をしている
活気がないんだよ
そんなのつまんない
眠い目を擦りながら空を見上げる
あの日隣町を襲撃したあとずっと一人で考えた
「俺はなんのために強くなったのか」
ずっとずっと考えていた
何でお前が死んじゃったのかを
考えても考えてもやっぱり答えなんて出なくて
ずっとつまらない夜が続くだけだった
けど1つわかったことがあるんだ
同じことを繰り返さないために
もう二度とお前みたいな犠牲者を出さないために
俺がすべてを破壊しようって
二度と誰も泣かないようにこの街以外の犯罪者みんな殺しちゃおって
そしたらさ
誰も死なないし誰も泣かないで済むでしょ?
誰もあんな思いしなくて済むでしょ?
原因をつぶそうって俺の考えは間違ってないよね
そう聞いても答えてくれない
返答の代わりなのかぽつりぽつりと雨が降ってきた
「帰ろっかな」
死体を置いて車の中に乗り込む
髪が濡れて邪魔だ
突然の雨にむしゃくしゃしながらも俺はロスサントスに車を向かわせた
街に着いた瞬間どうやらどこかいつもと違う雰囲気が漂っていた
何かあったのか?
なんかなんだろう
なんか、
懐かしい?
そんな感覚
なんでこんな感覚に陥ったんだ
分からない
分からないけどどこか安心してしまう
ふと、気になって空を見上げてみた
さっきの街とは違って快晴が拡がっているばかり
いつも通り?
けどこの感覚は5年前のいつも通り
今のいつも通りの感覚じゃない
日本語なのに日本語を上手く紡げない
よく分からない
今日はずっと分からないことだらけだ
もういっその事誰かに聞いてしまおうか
そう思いスマホを開き語学力がありそうなやつを調べてみる
「は?」
俺の目に真っ先に飛び込んで来たのは大量の♡がついている投稿だった
投稿内容なんていつもは興味無い
だけど
だけどとある名前が目に入ってしまった
青井らだお
その名前だけで何か気が抜けてしまった
帰ってきた?
この街に…?
あの青鬼が…?
実感が湧かなかった
湧かない上に全身の力が抜けて足から崩れ落ちてしまった
5年間の疲労が全部流れ出た感覚
さっきからずっとよく分かんない感覚をぶつけられてばっかりだ
「大丈夫カ?」
戸惑っている俺を見かねてか1人の警察が俺に手を差し伸べた
そいつの姿は見覚えがある
もう見飽きる程に
そう思いながらも彼女の手を掴む
こいつにこんな姿見られたの嫌ダナ〜
「らだお帰ってきたんだって? 」
「ウン、俺たちの苦労なんて知らないで元気そうだっタ」
苦労か
ここまでの苦しみかそれとも隣街を全部潰したことか
多分、どっちもだろう
「バレてないノ?俺たちがやったこと」
「バレてないヨ、俺たちが殺した事」
このままみんな言わないんじゃないノ?
そう聞こうとしたけどやめた
どうせ俺も言わないから
あの時はひたすらに帰ってきて欲しくて止めて欲しくて暴れ回った
それでも帰ってこなくて諦めてみんなで街に帰ってきた
俺はずっと暴れ足りなくて隣町のギャングまで殺して、殺して、殺しまくった
眠れない日の暇を潰すために
だけど、彼は突然戻ってきた
もう二度と眠れないと思っていた俺の目の前に突然現れたんだ
このことがバレて失望されて二度と戻ってこなくなったら俺たちはどうしたらいい?
その時初めて俺たちは罪の重さに気づいた
気づいたけど悪いなんて思っていない
それに
バレるなんて思ってない
「大丈夫大丈夫バレないヨ」
「ウン、バレない」
「バラしたやつは俺たちで殺しちゃお」
彼女は仮面越しでも分かるほど狂気的な笑みを浮かべていた
「皆、警察署行ってるけど行ク?」
「ウン、みんなダウンさせて連れてっちゃお」
「俺がらだオ守るからムリですぅ!じゃこは黙ってロ!」
「あ?先にお前を潰してやろーカ?」
「ムリだよ〜モンディーには」
コロス
銃を構えてこの猫の化けの皮を剥がそうとした時だった
「いいゾー!もっとやれ〜!」
魔王の声が聞こえた
いや、聞こえるはずがない声だった
2人で目を合わせて声がする方に振り向く
けどやっぱりそこには誰もいない
居ないはずなんだよ
「俺がいないからって手ェ抜くんじゃネ〜!敵みんなころせ!」
けどやっぱりあいつの声は聞こえ続ける
「猫マンゴーもモンディーもジャコかよ〜!」
痺れを切らした猫マンゴーが声をはりあげた
「うるさいヨ〜?!俺じゃこじゃないし!」
「とか言っておまえ前撃ち合いで俺に負けたじゃん!」
あるはずの無い記憶を何故か鮮明に思い出す
そう言うとその声は少し笑ったような声を出して
「俺がいなくてもちゃんとヤレよ!お前らならできる!」
といった
2日間しかいなかった彼の言葉
あまりに無責任であまりにも雑だ
だけど
俺たちの魂が100年前からの何かがこの期待に返すべきだと言っている
「お前に言われなくても知ってるヨ!臭いからとっとと帰レ!」
「あったことねーくせに知ったような口聞いてんじゃネー!」
そう言うと彼はばいばーい!とだけ言って消えたような気がした
「…行くカ、警察署」
「ウン」
その後俺に警察署襲撃で指名手配がかかったのは言うまでもない
らだおさんが居なくなったこの街に価値なんてない
そう思っても口にする勇気なんてない
私はいつまでも臆病だ
あの日あなたがいなくなってからずっとなんで個人医をしているか分からなくなった
だって誰かを蘇生してもあなたは帰ってこない
誰かが蘇生されてもどこか虚しくなってしまう
そういえばこの5年ぐらいずっと空見れてないな
青色を見ると思い出しちゃうから
ヘリを乗ることは愚か空を見上げることさえできない
もう私は何も出来ないのかな?
そう相談したことが何回あっただろうか
その度にみんな慰めてくれたけどやっぱりどこか悔しくて寂しかった
そう感傷的に浸っていると
「ゆちゃ!今すぐTwix見ろ!!」
無線から大声でそう言われる
なんなのよ!一体!
そう怒りながらもスマホを開く
そこには
青井らだおの文字があった
それを見た瞬間目の前が滲み目尻が暑くなる
スマホに1つ2つと水滴が落ちる
しまいつけには私の大声の叫び声のような泣き声だ
らだおさんがいる
その事実だけでも泣き叫んでしまう
いつからこんなにメンタル弱くなっちゃったんだろう
そう思っても涙は止まることはなかった
いなくなった時も泣けなかったのに
5年間の悲しみが全て放り出されたかのように感情が溢れ出す
「ゆちゃ!乗れ!」
そう言ってアドミゲスは私をヘリに乗せる
警察署にはもう野次馬のように沢山の人が集まっていた
そこからは色んな言葉が飛び交っている
大きく息を吸って
「らだおさんを見せろー!!」
「そーだそーだ!らだおはIrisの仲間だー!」
そう叫ぶと一気にほぼ全員がこっちを振り向く
「はぁ?!らだおくんは餡ブレラのものだ!だーれがほかのギャングに渡すもんか!」
「らだおくんに先に目をつけたのは俺たちだよ?」
そう圧をかけてくる餡ブレラ
「しーらね!らだおはIrisに入りたいって言ってたんだよ!」
「こっちは1位だぞー!」
そう言った瞬間ヘリがグラグラ揺れ始める
「らだおくんはコンセルジュのだ」
上を見てみるとハクナツメが私たちにヘリアタックしている
いや、他人事じゃないけどね?!
「なーにやってんだー!ナツメー!」
ハンが仕返しをするかのようにアタックをする
「アンケートだってコンセルジュがいない時のものだし昔の話を引きずるなよ」
だけど直前のところで軽々しく避けられてしまった
やっぱり警察の時とは違ったどす黒さを漂わせている
「MOZUのものに決まってるじゃないですか」
また横槍が…
「私たちなら今度こそ彼を守ってあげられる。あなたたちと違って」
「いや!私たちの方が強い!」
「いーや、私たち餡ブレラだね!」
「僕らに決まってるだろ!」
三つ巴ならぬ四つ巴
いつここで抗争が起こってもおかしくは無い
住民がヒリつきを感じギャング以外が警察署から離れていく
全員が銃をかまえたその時だった
どこからかロケランがぶちかまされる
それはちょうど火花を散らしていた真ん中で爆発した
こんなにロケランのことを知ってるのは
「特殊刑事課!つぼ浦匠ぃ!ただいま参上!!」
姿を現したのは予想通りつぼ浦匠だった
「次はヘリ打つからなー?!」
彼は言ったことは必ず実行する
その言葉はこの世界で上位に入る最高の脅しだろう
だけど
「おうおうやってみろー!」
「つぼ浦に当てられるわけないじゃん!」
「あなたが私に勝てるとでも?」
「撃った瞬間乗り込むぞ」
どこのギャングも引く気はなかった
もう1発彼が撃とうとした時だった突然構えるのをやめ横に避けた
「え」
どうゆうこと?
そう思った時にはもう遅かった
強い衝撃が地上を襲いそして
「まっずい!」
私たちを襲った
ロケランがヘリに当たった
そう理解するのに時間はかからなかった
当たったヘリは抵抗すらせずにゆっくりと地面に激突する
「いったぁぁ!!」
どうやらハクナツメもやられてしまったようだ
「も〜みんな避け無きゃダメだヨー」
煙のなか姿を現したのはオールインのボス、モンDと撃ち合いでギャングからも恐れられる猫マンゴーだった
モンDの片手にはグレネードがしっかりと握られている
まさかみんながいるところに投げたのか
やばいねやってる事
ヘリはつぼ浦の手によって全滅
地上班はウェスカーとヴァン・ダーマーを残して全滅
所謂ほぼ壊滅状態だった
「なにやってんのー?」
のんびりと緩急のない声
だけどよく響くその声は5年間聞くことが出来なかったものだった
こんな大騒動を起こしてようやく主役のお出ましだ
「え、何があった?」
「らだオ中に入って!」
モンディーの隣にいたその猫は素早くらだおさんを警察署ないに彼の手を引く
その逆の手はまた違う人物が握っていた
「どこ行くノ?らだお」
「ねぇ?らだお君うちにおいで?優しいよ?」
「らだおさん貴方の背中には1番MOZUの羽が似合う。こっちに来ませんか?」
片方の手をしっかりと握って警察署に入らないようにする3人
1対3という最悪な状況ができてしまった
猫マンゴーと言えどそこまで力はないようでどんどん警察署の外に引きずり出される
らだおさんは痛い痛いと笑いながら苦しそうに叫ぶ
喜怒哀楽豊かだなぁ
もはや全部関係なしに傍観者としてそれを見る他なかった
とうとうあと一歩引きづり出せば完全に外に出るというとこまで追い詰められてしまった
猫マンゴーもギリギリのようで片方の手で銃を構える
相手も察したようで3人とも片手にはしっかり武器が納まっていた
またヒリつきが生まれたその時
警察署内からさっき私たちがぶち当たった爆発音が聞こえた
それは全てを巻き込んで吹っ飛ばしていく
「逃げますよ!あおせん!!」
そう叫ぶと同時につぼ浦はらだおさんの体をひっぱり車の中に乗り込む
「それじゃまた!!」
負け犬の遠吠えなんて聞かずに彼は一目散に逃げ出した
残ったのは燃え上がっている警察署とダウン者だけだった
「あはは、今のはありえないんジャなーイ?」
「クッソォ…やられタ」
「やっぱらだおくんは難しーかぁ!!」
「今度こそ、かならず手に入れる…」
様々な反応を見せながらもみんな少し嬉しそうだった
それからみんなそれぞれ個人医に拾われて全員警察署襲撃により指名手配がかけられたのと、つぼ浦が全ギャングに追われたのは又別の話
END
コメント
5件
らだおが深い眠りに落ちて何年かしてから起きて起きた後の皆の反応を見たいです!よければ書いていただけると嬉しいです😆!
リクエストがあったので頑張って書いてみました!もし書いて欲しい物語があればコメントなどをしてくれるの幸いです。 ご期待には添えられないかもしれませんが全力を尽くします✨