テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
次の日、俺は普段と同じように生活していた。
出席簿を確認したり、授業で使うプリントを整理したりーーでもなぜだろう。
端の席に座って、頬杖を立てて外の景色を眺めている大森のことを、どうしても見てしまう。
朝の光に包まれ、透けた黒髪、綺麗な肌、大きな目に長い睫毛ーー全部綺麗で、思わず見惚れてしまう。
男子『委員長何大森見てんの?笑』
じっと大森を見つめていると、その視線に気づいたクラスメイトの男子が話しかけてきた。
滉斗『別に』
男子『別にじゃないだろ笑 顔赤いぜ?笑』
そう言われて気がついた。大森を見て、大森の話題を振られて思わず意識してしまい、顔が熱くなってしまっていた。俺がふいっと顔を背けると、男子は面白そうに笑って俺の頬を突いた。
男子『顔真っ赤笑 珍しいね委員長笑 恋してるって良いよなぁ〜』
滉斗『なっ…馬鹿!!!誰が大森に恋なんか…!!!』
顔を真っ赤にしてそう言い、男子の方を向くと、大森もこちらを見ていた。
俺の顔をじっと見て、面白そうにふにゃっと口角を上げた。
滉斗『〜っ…//』
なんでそんなに可愛いんだよ…!!!
耐え切れず、思わず頭を抱えるようにして俯くと、男子は面白そうに笑って、頑張れよと一言だけ言って席に座った。
頑張れよも何もないだろ…と思いながら、俺はまた大森の横顔を見つめてしまうのだった。
担任『それでは今日はここまで。気をつけて帰ろよー』
担任の合図と共に、授業終了のチャイムが鳴る。教室中は、今日もやり切ったね、帰りカラオケ行こうぜ、など盛り上がっている。そんな中、ある1人の女子が窓の外を指を差した。
女子『校門にいるちっちゃい男の子誰?迷子?』
女子『え、がちじゃん可愛すぎる』
男子『誰かの弟とか?』
男子『声かけに行っちゃう?』
教室中が更に騒ぎ出す。クラスメイトたちの視線、話し声に気が付いた大森もちらっと窓を見る。するとーー
元貴『!!』
慌てたようにガタッと音を立てて席を立ち、鞄を肩にかけて走って行ってしまった。何かあったのだろうか。
女子『どうしたの?』
女子『喧嘩売りに行った…!?』
男子『がち!?やばいやばい俺たちも行くぞ!』
そう言ってクラスメイトたちは大森の跡を追いかけて行った。学級委員長でもある俺も行かないとな…そう思い、俺も駆け足で大森の跡を追いかけた。
女子『あれじゃない!?』
男子『あれだ!!』
女子も男子も追い詰めたと言わんばかりに大森に迫っていく。だがその時、大森と小さな男の子が話している内容がみんなの耳に入った。
元貴『涼架お前何ここに来てんだよ…!!真っ直ぐ家帰れっていっつも言ってんだろ!!』
涼架『うぅ…だっておにぃちゃんに会いたかったんだもんっ!!』
お兄ちゃん…?
クラスメイト全員が耳を疑う。あんなピアスじゃらじゃらな大森に弟がいるのか…?
みんなが不思議そうに大森を見つめていると、視線に気づいた大森が慌てて背中に弟らしき男の子を隠した。
涼架『おにぃちゃん?』
元貴『しーっ、ちょっと静かにして…』
唇の前に人差し指を立てて静かにしてと注意する大森。いつもの威圧的な態度とは裏腹に、優しくて、どこか安心するような声色だった。
女子『え…大森くんの弟…?』
女子『えっ、えっ!!大森くんに似ててお目目くりくりで可愛い!!』
女子が大はしゃぎする。大森は困ったように弟くんを見つめている。そして1つ溜め息を吐いた後、弟くんを自分の前に出させた。
元貴『……弟の涼架、小3……涼架、自己紹介して、』
涼架『えっと、おにぃちゃんの弟の涼架ですっ!よろしくお願いしますっ!』
可愛らしい声色で元気良く挨拶をする涼架くん。大森とはまた違った可愛さがある。
女子『きゃーーー!!!可愛すぎる!!!』
女子『こんな弟私も欲しい〜!!!』
元貴『……涼架はあげないよ』
男子『えっ、俺も大森に言われてみたい』
クラスメイトが騒いでいる中、俺だけが涼架くんを見つめていると、涼架くんは俺を指差して大森の方を向いた。
涼架『おにぃちゃんあの人だぁれ?』
元貴『指差しちゃ駄目。あぷ』
は?待て…あぷって言った…?
女・男『あぷ…っ!!??』
元貴『おにぃちゃんのクラスの1番偉い人、若井滉斗くん…』
自分のことをおにぃちゃんと呼んで、更に若井滉斗くんと俺の名前を君付けで呼んでくれた。最上級に可愛すぎる。
滉斗『お兄ちゃんのお友達の若井滉斗って言います。よろしくね、涼架くん』
涼架『ひろとくん!!かっこいいね!!』
にぱっと笑って俺に抱き付く涼架くん。大森が慌てて離そうとするが、涼架くんは俺のことが気に入ってしまったのか、中々離そうとしない。
涼架『あっ!おにぃちゃんがこないだお話ししてくれた好きな人ってひろとくん?』
元貴『はっ…ぇ、あ…っ、しー!!!涼架!!!///』
涼架くんの口を慌てて抑える大森。てか否定しないのかよ。やっぱ俺のこと好きじゃん。そう考えていると、大森がこちらを見てカッと怒った。
元貴『委員長のことなんか好きじゃないから!!勘違いすんなよ!!//』
滉斗『涼架くんおにぃちゃん素直じゃないね』
涼架『おにぃちゃんいつもそうだよ!』
元貴『涼架!!!///』
大森が思わず声を上げる。そして周りにいるみんなは口を押さえたり、目を見開いたりしている。
女子『えっ!やっぱ大森くん委員長のこと好きなの?!』
元貴『好きじゃねーってば!!!//』
男子『照れ隠しなのバレてるぞー笑』
揶揄われて羞恥心で赤くなった顔を涼架くんの後ろにしゃがみ込んで隠す大森。そしてそんな大森の肩を優しく叩いてあげる涼架くん。どっちがお兄ちゃんなんだか。それもなんだか可愛くて、意地悪したくてーー
滉斗『……俺のこと好きなの?』
考えるよりも先に言葉が出ていた。驚いた大森は肩をびくっと震わせ、上目遣いで俺を見つめた。そして目線を逸らし、眉をへの字に下げてーー
元貴『嫌い……って言ったら嘘になるけど……好きなんかじゃないし……//』
あかん。可愛すぎる。どないやねん。
そう思っているのは俺だけではなく、ここにいる全員だった。
女子『やば!!?激かわなんですけど!!!』
男子『鼻血出そう』
涼架『ほらねっ!おにぃちゃんひろとくんのこと好きでしょっ!』
えっへんと胸を張る涼架くん。大森は恥ずかしくて顔を真っ赤に染めて俯いている。
滉斗『涼架くん、おにぃちゃん顔真っ赤だからあんまりそういうこと言っちゃうとおにぃちゃん怒っちゃうよ?』
涼架『だいじょーぶっ!涼架怖くないもんっ!』
ふにゃっと笑う涼架くんが可愛すぎて、思わず頭を撫でる。すると涼架くんは嬉しそうにえへへと声を出して笑い、俺に抱きついてきた。こんな可愛い弟くんがいるなんて、思ってもいなかった。
next→♡1500
まさかの展開が待っています。
コメント
6件
普通だったら「素直になれぇぇ!」って言いたいところだけどwkiさんも自分が好かれてるの自覚してるからすれ違いがなくて安心…☺️ Rちゃん弟なのも良いですね😆💗
涼架くん偉いね ~ っ !! ( 頭 撫 大森彡否定しないだなぁ … w 続き気なりすぎて死にそうよ (( ( まま
涼架くん、ナイス👍(鼻血 待ってやばい続き気になる病にかかった(?)