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「いえ。蒼さんと半分こ、嬉しいです」
こうやってシェアして食べれる人なんて遥さんしかいないし。
田舎にも何年も帰ってないから、家族とも地元の友達とも会えていない。
「……。反則」
「えっ……?」
蒼さんが何か言った気がしたけど、良く聞こえなかった。
熱くてはふはふしながらたこ焼きを食べてたら
「口の中、火傷するなよ?」
蒼さんはそんなことまで心配してくれる。
「はひ《はい》」
優しいんだな、蒼さんって。
一緒に美味しく食べるご飯は美味しいな……。
帰宅した――。
二人で買ってきた物を冷蔵庫に入れる。
「あの、蒼さん、さっきの身体で払ってもらうって何ですか?私にできることだったら何でも……。たこ焼きも奢ってもらっちゃったし」
美味しいたこ焼きまで食べておいて、申し訳ない。
「あぁ……。桜、もう具合とか悪くない?」
「はい!」
そう言えば、午前中は精神的なショックでフラフラだったんだ。
たこ焼きも美味しく食べれたし、遥さんと蒼さんのお陰で今はもうすっかり元気になった。
「そっか。じゃあ、お願いがあるんだけど……?」
蒼さんのお願いって何だろう?
身体でできること……。
もしかして……?
私は覚悟を決めた。
――・・・
「んん……あっ……そこ……」
室内に蒼さんの低い声が響く。
「ここ……?ですか?」
私は蒼さんが反応した箇所を押す。
「ん……そこが……ヤバい……」
直接触れているのでわかる。すごく硬い。
「強さ、痛くないですか?」
蒼さんにするのが初めてだから力加減がわからない。
「あぁ……。すげー気持ち良い……」
そっか、なら良かった。
「蒼さんって《《肩凝り》》酷いんですね。直接触らなきゃ全然気がつきませんでした」
そう、私が蒼さんから頼まれたのはマッサージだった。
もちろん至って健全の肩揉み。
遥さんには以前から何度かマッサージをしたことがある。
それを蒼さんが聞いていたらしく、私にお願いをしたかったらしい。
本当にこんなことで、ご飯代とかいいのかな。
「もういいよ。ありがとう」
ソファーに座っていた蒼さんは、立ち上がり肩を回し始めた。
「すごい、柔らかくなっている。気持ち良かったし。ありがとう」
上機嫌の彼に頭をポンポンされる。
「本当にこんなんで良いんですか?」
不服そうにしている私に
「あぁ。下手なマッサージ屋より上手だった。気分転換になったよ。姉ちゃんが感激してただけある。またやってくれる?」
背伸びをしている蒼さんは本当にすっきりしたという顔をしてくれた。
「はい、こんなことならいつでも!」
私が答えると、蒼さんは微笑んでくれた。
「桜。俺、これから仕事に行く準備をするから。帰りは遅くなると思うし、もちろん先にご飯食べて、風呂入ってゆっくりしていて。テレビとかも自由に見ていいから。生活のリズムが違うから、すれ違いの生活になるかもしれないけど。何か相談とかあったら、姉ちゃんでもいいし、俺でもいいから何でも話せよ?さっき、連絡先交換しただろ?」
そう、さっき蒼さんと電話番号とLIEE(無料通話・メールアプリ)を交換した。
「付き合いで、仕事終ったらお客さんとそのままご飯に行くことがあるから、そしたら早めに連絡する。桜はちゃんとご飯食べろよ。節約とか申し訳ないとか思ってないで?」
ドキッ。なんでわかるんだろう。
「はい、わかりました」
返事をするとよしよしと頭を撫でられる。
蒼さん、私のこと、次郎ちゃん(犬)だと思って接してくれているのかな。
「今日は、早めに帰って来るようにするから」
私に気を遣ってくれているんだ。
私に出来ること、たくさんしないと。
「はい、無理しないでくださいね?」
蒼さんはシャワーを浴びて出勤の準備をしている。
「椿さん」にどう変わって行くのか見たかったけど、我慢した。
私は遥さんが使っていた部屋を貸してもらえるようになったので、その掃除。
物とかはほとんどないが、一応、掃除機をかけたり、数少ない私の荷物を整理している。ラックやボックスは自由に使って良いとのことだったので、助かった。
まさか一日であんなに物を捨てられると思わなかった。
落ち着いてきたら今更ながら優人にすごく腹が立つ。そんな奴を好きになった自分も悪いと思いながら、床を磨いていた。
すると<トントンッ>というノックが聞こえてきた。
蒼さんかな。
「はい!」
返事をするとそこには――。
「あら。綺麗になったわね。ありがとう。ちゃんと掃除も出来ていなくてごめんなさいね?」
赤いドレス、ロングで明るい髪色、目元と口元は色っぽくて……。
「椿さん―!」