テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
時間帯は12時を回っていただろうか
依頼内容は[組織の裏切り者を生け捕りにして欲しい。自分で制裁を与えたいから殺さないで、その組織にも何もしないで欲しい]とのことだった
俺は店番があったから奏斗が先に行ったんやが、あいつに暗いってこと言い忘れたんよな
で、俺が付いたらこのザマよ
ターゲットは死んでるしあいつは何やってん…?
「おいなにしてん、奏斗!」
空気が冷たい冬の夜だからか良く声が響く
足元にある者を踏みつけていた奏斗と呼ばれた男はゆっくりと振り返る
顔は貼り付けたような満面の笑みだった
彼の足の下には依頼されたターゲットとは関係のない人物が踏みつけられており、顔に彼のブーツがめり込んでいた
周りには血だまりが出来ており、胸に穴が空いている男は生きているかなんて容易に想像できた
あれ、踏みつけられてる男アキラに見せてもらった資料に載ってた組織のボスじゃね?何もせんといてって言われてたやんか
奏斗の面をしたヤツは純白のコートを赤で染め、人を殺めたとは思えないほど明るい声色で返事をした
大体、声があいつにそっくりで気持ちが悪いんよ
「見てひばり、殺しちゃった!でも雲雀なら許してくれるよね?だって僕ら相棒でしょ!」
『…は?』
「そんな顔しないで〜!ちょーっとイラっと来ちゃっただけなんだよ!」
「…あーもう!助けてやったのに遅いなんてふざけたこと抜かしやがってっ」
何度も何度も足元にある死体を踏みつける
その度に黒い靴に赤黒い模様が増えていく
マイクごしに『何を言ってるんですか奏斗…?』という失望したようなアキラの声が聞こえる
アキラは音声だけを聞いているから困惑するのもしょうがないが、どんだけアホな俺でもわかる
あいつは奏斗じゃない
ただの化け物だ
そう思えば銃を向け引き金を引くのは容易いことだった
化け物の頭に銃を向けると少し動揺した様に見えたが残念ながらもう遅いんよ、お前はニセモンだ
誰も住んでいないコンクリートでできたアパートに銃声がこだまする
そのまま後ろに倒れた”化け物”に駆け寄ると
綺麗に胸元に命中した所から血が流れ出ている
__『ひばりそちらの状況は』
___『ひばり?大丈夫ですか!?』
___『セラ夫送りましたからね、生きていたら返答をお願いしますよ』
目の前にある”人間”から目が離せない
どくどくと流れ出て止まらない血の量は既に致死量を超えていた
赤い、赤い血は見ているだけでく目が眩む
ただ問題なのはそこに居た”化け物”はもう居なかったことだけだった
なんて不運な男なんだろうな、俺は
「あ、これ奏斗や」
_____________
この話は没の1つです
お話勉強中
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!