ボクは、元知能天使のナナ。
今は、お気に入りの執事さんと、可愛い黒猫さんと一緒に旅をしています。
屋敷で主をやってた時、よく、ベレンさんと一緒におさんぽしてた。
ベレンさんは、花を見つけると、よく花かんむりを作ってくれた。
一回、シロさんのも作ってたけれどすごく怒られてた。
でも…何だか嬉しそうに見えた。
2人とも…仲良しなんだ。
『ベリアン…何でここにいるの』
そう問うと、ベリアンは涙を流した。
「大好きだからですよ」
『違うでしょっ!』
一際大きな声で、叫んだ。
「主様…喉痛めちゃうよ」
いつもみたいに心配してくれるベレンさん。
けれど…今のボクには、ベレンさんなんて見えなかった。
『ベリアンは、ボクのこと見捨てた!あの時助けてくれなかった!』
そう言ったって、貴方は微笑むばかり。
…ねぇ、大好きなんでしょ…。
だったら…ボクのこと、たすけてよ…。
元知能天使という立場だったら…だめ、なの…?
『なんで!どうして!』
理性が追いつかない。
どうしてだろうか…。
ボクじゃない”ボク”が、ベリアンに襲いかかろうとした時。
「聞いてください!主様!」
普段発さないような大きな声で、叫んだ。
「私…悪魔の力を借りて…ここまで来たんです…だから、っ…」
最後の一言は、分からなかった。
なんていったんだろ…?
分からなかったら余計気になる。
何故か、ボクはベリアンの元に近づいていた。
ベレンさんとシロさんとムーちゃんは、何も言わなかった。
『ベリアン…もう一度、ボクに言って?』
そう言うと、顔を上げてくれた。
その目は、泣き腫らしたうさぎのような目。
けれど…とても美しかった。
「……わたしの、頭を…なでてくれませんか?」
その姿は、まるで小さい頃、ずっと甘えられていない子供のよう。
…そうだよね。
ボクのために、ここまで頑張って来たんだもんね。
『いいよ…撫でてあげるね』
髪を触った瞬間、目を細めるベリアン。
頬を撫でると、すりすりと擦り寄る。
『……ボクのために、ここまで来てくれて…ありがと。ベリアン』
「ベリアン…よく頑張ったね」
「頑張ったなベリアン」
「ベリアンさん…お疲れ様です」
また貴方の赤い目から涙が零れる。
けれど、その表情は…霧が晴れたような…綺麗な微笑みだった。
「ありがとう、ございますっ…みなさんっ」
朝。
チュンチュンと、心地よい鳥のさえずりが聞こえる。
「おはようございますナナ様」
何故だろう。隣にベリアンがいる。
『べ、ベリアンっ!?どうしてここに!?』
びっくりして、テントの端っこに寄った。
「悪魔の力の代償で…執事としての立場を失ってしまいまして…」
悲しそうなトーンで言うが、表情は嬉しそう。
下手だな…隠すの。
「なので…少し、やってみたいことがありまして…」
少し、照れながら近づいてくる。
『え、ちょ、ちょっと待ってベリアン。何するの?』
何をするにしても、端っこは色々やばい。
もう少しで、ベリアンとボクの唇が重なりそうになった時。
「主様〜ご飯できたよ〜!」
テントを開けてベレンが入ってきた。
「ベレン…」
「あれ?もしかして、開けちゃいけない感じだった?」
「そうですね」
『は、はやくごはん食べよ〜』
朝からほんと気まずい。
ベリアンは、私達と一緒に旅をすることになった。
ボクとしても、ベリアンのマドレーヌを食べれるのは本当に嬉しい。
あの味…大好きだから。
「あ、そうですこれは言っておかなければいけませんね」
朝ごはんを食べている途中、口を開いた。
「何かあったのかベリアン」
かなり、深刻そうな表情だ。
「実は…屋敷に新しい主様が来まして…」
という、初耳の情報が出てきた。
「えぇ!?新しい主様!?」
「しかも…私以外の執事は…皆さんそちらに夢中なようで…」
これはかなり……ラッキーなんじゃないか?
私を信用しない執事達は、他の花に夢中だ。
つまり…追われることなく楽に旅ができる!
「ちなみにですが…新しい主様は、多分私達を追ってきています」
…前言撤回。
追われていた。
「え、なんで追われてるの?」
「…私達が戦力だからですよ」
「あぁ、なるほど」
悪魔執事が3人も散らばっていると、集めたいだろう。
『はぁ…じゃ、逃げなきゃね』
結局逃亡だ。
……はは。面白くなってきた。
「あぁそうだな」
「いざとなったらベレン兄さんに任せなさいね」
「私も…ナナ様をお守りします!」
「僕も…主様を守ります!」
こんなにも頼もしい仲間がいるのだ。
どうせなら、楽しく逃げよう。
『それじゃ…今日はここに行こう!』
「……ルカス。ベリアンは?」
「逃げてしまいました」
あーあ。最悪。
ドタイプ逃げちゃったし。
まぁいいや。
執事ちょーイケメンだし。
「主様大好き〜!」
「おやおや…ラムリ君…」
こんなに可愛い執事だっているしね。
あははっ、最高〜。
コメント
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えっと、新しい主様殴りに行くけど一緒に行く人いますか?
新しい主何もしてないはずなんだけどな~、何か、こう、ベリアンをドタイプって、言ってるし、逃がしたって言い方も、腹黒さを感じる...
新しい主何か腹黒感を 感じる