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賑やかな室内に、温かな日差しが差し込む。

騒々しいとはいえないが、部屋の空気に光のようなイメージを覚える。光がさす事は、何処かに影ができるということ。

俺は影がいい。

影は、嘘も、汚れも、自分自身さえも、隠してくれるんだ。

「おいっ。なにしてんだよ。」

不思議そうに見上げる彼は、昨日から入ってきた新人。

保護された少年はこの世のものとは思えないほどの美貌を持ち合わせている。

白い長い髪、紅に輝く瞳。

「おいっ!!」

「え!?なに…おわっ!!!」

気づけばコップに注ぐはずのコーヒーが一滴もコップにはいっていない。かわりにテーブルと床に少しづつ広がっていく。まるで、侵食されていくようだ。

「あーー。ごめん…。拭くもの持ってくる。」

タオルは確か、キッチン横の棚にあったっけな。やばいな、ぼーっとしてた。別に寝てないわけじゃないのに。

白いタオルにコーヒーの黒さが染み渡っていくじわじわと、ゆっくり、ゆっくりと、、。

『またな。次に会えたらーーー』

「おい。」

混濁する意識を白い何がが遮る。

「えっ、、、」

いつの間にか白いタオルは元の色がわからないほど黒くなっていた。

もうコーヒーをこぼしたあとはない。何もないテーブルをずっと拭いてたのか、、、。

「あぁ、ごめん。、、、タオル洗ってくる。君は、この資料を読んでて。」

自分に言い聞かせるように言い放つと明日の仕事の資料をヒュイに押し付ける。

「……。」

なんだろ、今日、、変だな。

とりあえず、薬飲んでおこう。


「おっはーー!!元気かなぁ??アッハハー、そんな睨まないでよぉー。そんな怖い目で睨まれたらぁー、お姉さん泣いちゃうぞぉ?」

部屋に入るや否や肩を組んでくる女。

「っっ〜〜!!!触んなっ!」

はじめての出社。

最悪だ。なんなんだこの女。うわっ。人間の匂いじゃないだろ。なんで体から甘い匂いがするんだ?体が砂糖からできてんのかよ。

「くさい!」

「えっ!?なんで?ちゃーんと香水つけてきたよ??うーん?なんでだろー?」

つけすぎなんだろ、、、!

黄色の長い髪をツインテールに結びでっかいピンクのリボンでとめている。

綿菓子みたいに膨らんだフリルたっぷりの洋服は歩くたびに重く弾む。

立っているだけで存在感が凄い。

「んっふふー!!そんなに見つめちゃってぇ!さては私の可愛さに見惚れたかー!??」

このテンションについていけない、、、。

「チッ」

とりあえず逃げたい。

あいつどこ行った?朝っぱらからボケーっとしてたな、、、。

つかみどころがない奴だ。

あいつにこの女擦り付けて逃げるか。

「っおい、ーーーー?????」

振り向いた

「ん、?なに、?」

肩に何かある。

いや、いる。なんだあれ。

シーヤの肩に豚のような、なにかがいた。

なんだ、、?あれ、、

豚のような生き物は、

肌は紫、ところどころにピンクと白の斑点がある。フリルのような首輪が付いていて、白い鎖が首輪から出て短い尻尾に繋がっている。鼻は筒状になっていて、まるで豚の鼻を引き伸ばしたみたいだ。

「は?」

「?」

夢でも見ているのか?

もしくはこの生物は俺が知らないだけで犬や猫と同じ感じで存在してるのか?

「おまえ、それ、、なに?」

「それってなんのこと?」

「え、肩、、、。」

「?」

見えてない、、、、、?

「うおっ!?」

変な豚がこっちを見た。

目が、、、左は黒のボタンで、右はクッキーだ。見えてるのか??

豚はこっちを一瞥し興味なさげにまた肩に向き直る。そして長い鼻を二倍ぐらいにまた伸ばし、頭の上に近づける。

「??????」

食うのか?

べつにこの人間がどうなろうと気にする事ではないが、目の前でこいつが死んだら疑われるのは俺だろうな。

それはすごく面倒だ。

「おい、てめぇ、、、どっかいけ、、。」

こういう時なんて言えばいいのか、分からない。とりあえず、叩くか。

手で払うように豚を剥がすーーーーーバスだった。だが、触った瞬間、豚は雲のように、モヤのように消えた。

と思ったら違う方の肩にいた。

『プブーーッwwww』

、、、、、。

「、、、殺す。」

、、、、殺す。

「え!?なんで!?!?!?」

「こっ、この、!っ!!ぶた!!くっそっ、にげ、んな!!!!!」

どうにか捕まえようと飛び掛かるが、全く掴めない。触ろうとしたらまた消える。腹立つ!!

「うわっ!なに!?どうしたの!!??」

「お前は動くな!!!ぐっ!おい!!っっ!!くっそ!ゔっぜえ!!!!!」

ゔっぜぇ!!!!!

『ぶぶっwwww』

相手をおちょくってる声がさらに苛立たせる。こいつ、知能がある。

いったん落ち着こう。

「???ほんとどうしたの!?、、、、。」

こいつは掴もうとしたら雲になる。

意識的に雲になっているならいいが、もし体質だったら?面倒だな。意識的なものだとしよう。不意を突くにはどうするか、、、。

とりあえず、

「、、、なんでもねぇ、、。」

「なんだよ!もうっ!!!」

あ、いつの間にかあの女いない。

やったあ。

諦めて通り過ぎる、、、、、、と見せかけて捕まえる!!

「おらっ!!!」

『ブギッッ!!??』

「っー!!っしゃぁ!!捕まえたぜ!」

捕まえた。

思ったよりふかふかしていた。布団みたいで、ぬいぐるみみたいだ。目もボタンだし。

変な声を上げながら豚はジタバタしている。

「ふんっ逃げれると思うなよ?この豚!!」

さて、これからどうしようか。


「おぉ!さすがだね!!大喝采!!!」

小さな拍手の音と声が響いた。

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