この作品はいかがでしたか?
624
この作品はいかがでしたか?
624
ぐちゃっ
ぐちゃっぐちゃっ
ぐちゃっぐちゃっぐちゃっ
「あれ…?もう死んだ?」
目の前には赤、赤、赤
まるで真っ赤なペンキがぶちまけられたような光景が広がっていた
「うわっ。全身血塗れじゃん」
仕事服の黒いコートは血を吸い込んで赤黒くなり、自身の金髪は返り血を浴びて赤と黄色になっていた
もちろん愛用のナイフは血塗れ
「うげ。血生臭っ」
仕事モードに入ると返り血や血液特有の鉄臭さは気にしなくなるがモードがきれると違和感を感じる
「帰ってシャワー浴びよ」
(そういや、殺した奴誰だっけ?まぁいっか。興味無いし)
この男、興味がないものには一切記憶に残らないのである
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(確か、この言葉はキリスト教の教えだったな…)
いつものように人の生死について街をぶらついていたときだった
“その”言葉を思い出したのは
死後の世界は誰もわからない
トンネルのような場所を歩いたという人や街を上から見下ろしていたなど、仮死者の人々は臨死体験のときはバラバラらしい
そもそも人の“魂”という概念はどうやって生まれたんだろう…
何万という生物が生まれる中、何故人間だけ違うのだろう…
いつものように考えて公園のベンチに座っているときだった
「お兄さんどうしたの?」
見知らぬ女の子が目の前にいた
「…ただボーッとしていただけだ」
「お兄さん髪きれいだね!あたし吉田歩美!お兄さんは?」
(名乗っとくか…)
「Mallory(マローリー)」
「へぇーマローリーさんっていうんだ!かっこいい!」
「ありがとう」
「ねぇお兄さん。笑って!」
「…?」
「お兄さんなんだか悲しそうな雰囲気だったから!」
(考え事していただけなんだが…)
「あぁ」
その日、俺は数カ月ぶりに笑った
(俺には笑う資格なんかないのに)
ドイツ語
Mallory【マローリー】:戦争の相談相手
コメント
3件