テラーノベル
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窓から見える星空が鮮やかになってきた頃、二人はようやく帰路についた。学校から駅までの道は既に夜の帳が下りている。
「結局、あんまり勉強せえへんかったな」
シャオロンが照れくさそうに笑う。確かに勉強の成果はあまり出なかったが、得られたものは大きかった。
「いいんです、ワイにとっては有意義な時間でした」
ショッピは少し離れて歩いていたが、その言葉にシャオロンが振り返る。
「何言うとんねん。次はちゃんと教えるからな!」
「はい、お願いします」
街灯の下、二人の影が寄り添うように並ぶ。ショッピは無意識にシャオロンの手を取ろうとしたが、ギリギリで思いとどまった。
「なあ、ショッピ」
「はい?」
「ありがとな」
「何がですか?」
「今日みたいに……隠したりせずにいられる場所、作ってくれて」
シャオロンの言葉に、ショッピは深く頷いた。
「もちろんです。シャオさんが望むなら、いくらでも」
駅に着くと、それぞれ違う方向の電車に乗らなければならない。別れ際、ショッピはシャオロンに向き直った。
「シャオさん、また明日も……同じ場所でいいですか?」
「うん、ええよ。でも今度はちゃんと勉強するで?」
「わかりました。じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ」
電車を降りた後も、ショッピの心は落ち着かないままだった。手の中に残るシャオロンの温もりと、あの柔らかな笑顔を思い出していると、不思議と胸が締め付けられるような感覚になる。
(誰にも知られない関係も、悪くないかもしれない)
ショッピは夜空を見上げながら思った。
(でも……いつか、堂々と彼の隣に立ちたい)
自宅への道を歩きながら、ショッピはそんな願いを胸にしまい込んだ。
翌朝、教室に向かう途中で、友人のチーノと鉢合わせた。
「あれ?昨日はどうしたん?シャオさん探してたやろ?」
「ああ、ちょっと……」
「そうそう、今度合コンあるねんけど来る?シャオさんも誘うつもりやねん」
ショッピの顔から血の気が引いた。しかし、表面上は冷静を装う。
「ありがとうな。でも、ちょっと考えさせて」
心の中で、昨日のシャオロンとの約束を再確認する。どんな誘惑よりも、今は彼との時間が大切だ。
(合コンなんかより、シャオさんと過ごす一日の方が貴重や)
そして今日もまた、誰にも知られぬ恋が静かに続いていく——秘密であるがゆえに、その価値が増していくように。
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