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期末試験が終わり、校内は夏休みモード一色になっていた。青空には入道雲が立ち上り、蝉の声が教室の窓越しに響いている。
「やっと終わったなぁ」
シャオロンは大きく伸びをして、隣に座るショッピに微笑みかけた。
「そうですね。来年はもっと余裕持って準備したいです」
ショッピは参考書を閉じながら答える。二人で放課後の倉庫で過ごした日々は、既に大切な思い出になりつつあった。
「なあなあ、夏休みの予定とかあるん?」
シャオロンが興味津々といった表情で尋ねる。
「バイトくらいしか……シャオさんはどうですか?」
「俺か?うーん……」シャオロンは少し考え込んでから、「盆踊り大会に家族と行く約束しとってな」と続けた。
「盆踊り大会……」
ショッピの頭の中で何か閃いた。町内の小さい行事だが、確か地域の人しか集まらないはずだ。
「僕も一緒に行ってもいいですか?」
「えっ?」
シャオロンは少し驚いたように目を丸くしたが、すぐに嬉しそうな笑顔に変わった。
「そりゃええよ!本来家族以外と行くような場所やし」
「じゃあ、それで決まりですね」
帰り道、ショッピはウキウキした気持ちを抑えきれなかった。盆踊り大会なら、周りに不審に思われることもなく、シャオロンと一緒にいられる。
「あっ、でも……」
突然、シャオロンが立ち止まった。
「お前、浴衣とか持ってるん?」
ショッピは自分の服装を思い出した。シンプルなTシャツとジーンズだ。
「持ってないですけど……普通の服じゃダメですか?」
「ダメってわけやないけど、雰囲気出るしなぁ」
シャオロンは顎に手を当てて考え込んだあと、突然閃いたような表情になった。
「せや!うちの父ちゃんの浴衣貸したるわ!丈は合うやろ?」
ショッピの顔がぱっと明るくなる。
「いいんですか?」
「もち!俺のを貸してもええで。お揃いで着よか?」
「お揃い……」
その響きに、ショッピの心臓がドキドキと高鳴った。
「じゃあ、土曜日に取りに来て。うちの住所送るわ」
シャオロンがスマホを取り出し、メッセージアプリで位置情報を共有してきた。
「ありがとうございます」
ショッピも慌てて自分のスマホを取り出す。
「なあ、ショッピ」
「はい?」
「楽しみやな、盆踊り」
夕焼けに染まるシャオロンの横顔が眩しくて、ショッピは思わず目を細めた。
「はい、すごく楽しみです」
二人の約束がまた一つ増えた。誰にも邪魔されない、二人だけの夏の思い出作り——それは、彼らにとって最高のプレゼントになるだろう。