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〖アイビー〗
# 3
〔 成亜視点 〕
合鍵は、今日もちゃんと使えた。
カチ、って音がして、それだけで胸の奥が少し安堵する。
手のひらが微かに汗ばんで、心臓が少し早くなるのを感じる。
リビングへ足を進める。
部屋の電気はつけない。
青空くんは眩しいの嫌いやから。
窓から入る朝の光が、柔らかく床に落ちる。
「ぁ〜…服脱ぎ捨てとるやん…」
洗濯を畳んで、洗い物を片付けて、いつも通りに。
起きたときに、綺麗なほうが気分えぇやろ。
「も〜、冷蔵庫なんもないやん笑」
買い物いかなあかんなぁ。
一人やと、ちゃんと食べへんもんなぁ。
カーテンを閉めて、部屋の温度を調節する。
身体冷やしたらあかんからな。
スポドリとか薬とか用意して、袋も用意して。
吐いちゃっても、成亜が処理したるから。
誰にも見せへん。
起こさへんように、そーっと部屋を覗く。
すやすやと眠る青空くんに静かに毛布をかけ直す。
寝顔の写真を撮る。
シャッター音は、ならさへんように。
あぁ、可愛い…
なんで、みんなに優しくすんねやろ。
成亜だけでえぇやん。
他、いらんやろ。
成亜以外を見る必要、なくなるやろなぁ。
……でも、ほんまにえぇんか?
こんな気持ち、知られたら引かれるかもしれん。
でも、見せんでも守りたい。
成亜だけのそらくんであってほしい。
誰にも渡さん。
耳に聞こえるのは、青空くんの呼吸だけ。
……そうなるように、したるわ。
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こげ丸