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ーーそれから何日経ったのだろう。
明のところへ行くことは、あの出来事があって以来無くなってしまった。
こう言うところも自分勝手なことに気づき再び嫌気がさす。
明がいない部屋は狭くて、深呼吸をしても意味がなくただただ寂しさと後悔が混じった薄い空気が肺に入る。
俺が急に行かなくなって不安になっているだろうか、大変なことに巻き込まれていないか…。
(忘れろ……もう終わりだ……)
それと同時に、明を傷つけた責任から逃れるための言い訳なのかとも思い始める。
傷つけたのは自分、守らなきゃいけないのも自分、全て……何もかもーー。
血が滲み出そうなほどに拳を握りしめる。差し込む日差しがまるで「行くんだ」と俺を導いていく。
「……」
(何を考えてるんだ……?)
気づけば俺は両目から拭いきれないほどの涙を流し、情けなくもそれはぼたぼたと床に落ちてゆく。
「…っ……くそっ…!」
本当は俺は泣くべきじゃない。泣きたいのは明の方だ。
悪戯っぽい顔も
怒った顔も、
あの笑顔も、
人生も、
全て俺が奪った。
窓の隙間から漏れる風が止まらない涙を拭き取るように肌をかすめる。
揺らぐことのない決意。カチャリと音を立て、俺の心に染まっていく。
「……行こう」
俺は数分、ドアノブを握りしめていたーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
病院に着くまでの道のりは1日より長く、空気さえも俺には重く感じた。
目の前には明がいる病室が誘い込む勢いで輝く。
取手を掴み、恐る恐るドアを開ける。
明と目が合ったのは数秒もしなかった。
目の前にいる俺を見ては何度も目を擦り、震えながらも待っていたかのように微笑む。
「おかえり……博雅…」
あの時の出来事を忘れたように明るい眼差しを向ける。
「あ、あぁ……ただいま…」
慎重にベッドの横にある椅子に腰掛ける、顔は見れなかった。いや、見れないわけではない。
胸に手を当てて高鳴る鼓動を抑えるようと深呼吸を繰り返す。一人の時とは違い、明がいるせいか分からないが顔は真っ赤になりより一層鼓動は激しくなってゆく。
(何か……話さなければっ…)
不意に横を見ると心配そうにこちらを見る明がいる。
喉の猛烈なつっかえを振り切って出来る限りの言葉を出す。
「あき…ら……本当に、すまn…」「ねぇ、博雅」
言い終わる前に明は口を挟む。その顔と目には今までのとは違う雰囲気を漂わせている。
「わかったよ…博雅……」
微笑んでいるが悲しそうな表情で言葉を繋げる明。
(わかった…?一体…何が……)
“わかったよ”
その言葉の意味が理解できず頭は真っ白になり、俺は今にも壊れそうに明を見つめることしかできない石像となっていた。
月影
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