テラーノベル
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ー逃げ道は君になった。ー
🩷佐野勇斗 攻
💛吉田仁人 受
🤍山中柔太朗
❤️曽野舜太
💙塩﨑太智
勇斗side
文化祭が終わった。
校内にはまだ片付けをしている生徒が
ちらほら残っていたけれど、
さっきまでの騒がしさは
すっかりなくなっている。
屋上には、俺たち五人だけ。
……だったはずなのに。
💛「…………」
仁人は、いつの間にか眠っていた。
🩷「……仁人、寝ちゃった」
🤍「ほんとだ」
❤️「今日めっちゃ頑張ってたもんなぁ」
💙「メイドやって、お化け屋敷行って、ずっと歩き回ってたしな」
🩷「……起こさないほうがいいよね」
🤍「うん。かなり疲れてると思う」
柔太朗と俺は眠っている仁人を見つめる。
💛「…………」
少し寒そうに、体を小さく丸めている。
🩷「……寒くないかな」
🤍「さっきからちょっと震えてたよね」
🩷「俺のジャケット、ちゃんとかかってる?」
🤍「大丈夫。肩から落ちてないよ」
🩷「そっか……」
俺達は仁人のことになると妙に細かい。
だってーー
💙「……お前ら、過保護すぎへん?」
❤️「ほんまそれ笑」
🩷「だって寒そうじゃん」
🤍「風邪引いたら大変だし」
💙「同じこと言うてるやん笑」
❤️「息ぴったりやなぁ」
俺達は顔を見合わせる。
🩷「……まあ、仁人のことだから」
🤍「うん」
それだけで、なんとなく通じてしまう。
二人とも、考えていることは同じだった。
帰る時間になった。
俺は仁人の前にしゃがむ。
🩷「……俺が背負って帰る」
🤍「うん。お願い」
勇斗がそっと仁人を背負う。
💛「……ん……」
🩷「……ごめん、起こした?」
返事はない。
仁人は俺の肩に顔を預け、
そのまま眠り続ける。
🩷「……よかった」
🤍「ちゃんと寝てるね」
🩷「うん。でも……」
俺は少しだけ仁人を支える腕に
力を入れる。
🩷「落とさないようにしないと」
🤍「俺も横にいるから大丈夫」
二人で歩き始める。
しばらくすると、仁人が少しだけ動いた。
💛「……ん……」
🩷「仁人?」
そして――
💛「……勇斗……」
足が止まりかけた。
🩷「…………え?」
🤍「……今、呼んだ?」
💛「……勇斗……せんぱい……」
甘くて、柔らかい声。
普段の仁人なら、
絶対にこんな声で呼ばない。
🩷「…………」
勇斗は完全に固まった。
🤍「…………」
柔太朗も黙っている。
💛「……ん……」
仁人は何も知らない。
ただ、俺の背中に安心したように
体を預けている。
🩷「……かわい」
🤍「…………」
柔太朗は少しだけ目を細めた。
🤍「……俺の名前は、呼んでくれないんだね」
🩷「……柔太朗」
🤍「別に。寝言だから仕方ないけど」
少し寂しそうに笑う。
でも――
💛「…………」
仁人の顔を見た瞬間、
その表情が優しくなる。
🤍「……でも、ちゃんと寝てるならいいや」
🩷「うん」
二人とも、
結局考えていることは同じだった。
仁人が安心して眠れているなら、
それでいい。それだけ。
しばらく歩いたところで、
俺は仁人を背負ったまま立ち止まる。
🩷「……柔太朗、交代する?」
🤍「うん」
🩷「ちゃんと支えて」
🤍「分かってるよ」
🤍「……仁人、ちょっとだけ動くよ」
柔太朗がゆっくり仁人を背負った。
💛「…………」
仁人は起きない。
🤍「……よかった」
🤍「仁人、苦しそう?」
🩷「大丈夫」
🤍「首、変な角度になってない?」
🩷「大丈夫だって笑」
🤍「寒くないかな」
🩷「大丈夫。ちゃんとジャケットかかってるよ」
🤍「……ならよかった」
🩷「……柔太朗も過保護だね」
🤍「勇斗もでしょ」
🩷「まあね」
二人で笑う。
すると。
💛「……ん……」
仁人が少しだけ身動きした。
🤍「仁人?」
柔太朗は、仁人の頭が肩から落ちないよう
にそっと支える。
そして、優しく頭をぽん、ぽん。
🤍「……大丈夫だよ」
💛「…………」
もう一度、ぽん、ぽん。
すると仁人の表情がふっと緩んだ。
眉間に入っていた力が抜けて。
安心したような、穏やかな顔になる。
🤍「……ふふ」
🩷「安心したみたい」
🤍「うん」
🩷「……可愛い」
🤍「……うん。可愛いね」
俺達は同じ顔で仁人を見る。
完全に過保護だった。
でも、
俺達はそれをやめるつもりはない。
仁人side
俺の家の前。
🤍「……着いたよ、仁人」
💛「……ん……」
ゆっくり目を開ける。
💛「…………あれ?」
自分が柔太朗に背負われていることに
気づく。
💛「……え?」
🩷「おはよ、仁人」
💛「……勇斗先輩?」
🤍「おはよう」
💛「……柔太朗?」
一気に目が覚める。
💛「俺……寝てたんですか?」
🩷「うん」
🤍「ぐっすり」
💛「……家まで送ってくれたんですか?」
🩷「もちろん」
🤍「こんな時間に一人で帰らせられないし」
💛「…………」
💛「……ありがとうございます」
🩷「いいよ」
🤍「気にしないで」
🩷「今日はもうゆっくり休んで」
🤍「ちゃんと暖かくして寝てね」
🩷「水分も取って」
🤍「明日、疲れてたら無理しないで」
💛「…………」
💛「……二人とも、過保護すぎません?」
🩷「だって心配だから」
🤍「うん」
💛「……もう」
少し呆れたように笑う。
でも、嫌じゃなかった。
むしろ――
少しだけ、嬉しかった。
二人が帰っていく。
仁人は玄関の前で、その背中を見送った。
💛「……今日は、楽しかったな」
そして。
なぜか頭の中に浮かんだのは――
勇斗の顔だった。
💛「…………」
胸が、少しだけ熱くなる。
その理由を、仁人はまだ知らない。
勇斗side
一方、帰り道。
🩷「…………」
🤍「……勇斗」
🩷「なに?」
🤍「さっきの寝言」
🩷「…………」
🤍「やっぱり、嬉しかった?」
勇斗は少し照れながら笑う。
🩷「……うん」
🤍「そっか」
少し歩いてから、柔太朗がぽつりと言う。
🤍「……俺も、いつか呼んでほしいな」
🩷「…………」
勇斗は少しだけ笑った。
🩷「……そのうち呼んでくれるよ」
🤍「……だといいな」
二人とも、同じ人を想っている。
だからこそ。
少し嫉妬して少し競い合って
それでも最後には、
仁人が安心していられることを
一番に考える。
――そんな二人だった。
コメント
1件
お疲れ、読了したわ!今回もう最高だった…特に寝言で「勇斗…先輩…」って呼ぶ仁人、かわいすぎて倒れるかと思った。普段絶対言わないからこそ、ああいう無意識のギャップが刺さるのよ。勇斗が固まるのもわかるわ。柔太朗の「俺の名前は呼んでくれないんだね」も切なくて、でもちゃんと仁人の寝顔見て優しくなるの、好きすぎる。過保護コンビの掛け合いも微笑ましかったし、ラストの仁人の胸の熱も気になる…続き、本当に楽しみにしてます🔥
𝕔𝕠𝕔𝕠
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