テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
朝
教室にはまだ数人しかいなくて
静かな空気が流れていた
窓際の席で透は頬杖をつきながら外を見ている
ぼーっとしていてどこか眠たそうでマイペース
「……透」
「んー?」
後ろから声をかけられても透はのんびり振り返るだけだった
そこに立っていたのは幼なじみのひかり
「髪、ぐちゃぐちゃ」
「そー?」
「そー?じゃない!ほら座って」
ひかりは透の後ろに立つとクシを取り出した
透は特に気にした様子もなく
「よろしくー」
なんて呑気に笑う
そう言われて
(かわいい……)
そう思った
昔から見慣れてる顔なのに
最近透に笑われるだけで変にドキドキする
ひかりは誤魔化すように髪へ触れた
さらりと指を抜ける柔らかい髪
耳もうなじも全てが近い
「……っ」
「ひかりー?」
「な、なに」
『手、止まってるよ?』
「あ、ご、ごめん💦」
ひかりは慌てて髪をまとめ始める
でも指先が震えてうまくゴムが通らない
(落ち着いて、落ち着いて……!)
相手は透
いつもの透
小さい頃からずっと一緒の
なのに……
「ひかり、顔赤いよ」
「っ!?」
図星を突かれて、ひかりは勢いよく顔を逸らした
「あ、赤くない!」
「そう?」
透は不思議そうに首を傾げる
その無垢な顔に、ひかりはさらに心臓を撃ち抜かれた
(この子、自覚ない……!)
ようやく髪を結び終わり、ひかりは小さく息を吐く
「……できた」
「ん、ありがとー」
透はスマホの画面を鏡代わりにして
「おー、いい感じ」
と満足そうに笑った
その笑顔が近距離で飛んできてひかりは限界になった
「〜〜っ!」
「?」
ひかりは両手で顔を覆う
透はきょとんとしていた
「ひかり、今日へん」
「透のせいなんだけど!?」
「えぇ?」
本気で分かっていない声
ひかりは机に突っ伏した
「もうやだ……」
「???」
透は困ったようにひかりの背中を見つめる。
少し考えてから、ぽん、と頭に手を乗せた
「ひかり、疲れてる?」
「っ……!」
優しい声
無防備な手
ひかりの顔はさらに真っ赤になる
透は、本当に意味が分かっていなかった
ただの幼なじみを心配しているだけの顔だった
今日やっと気づいた
私は透の事が好きなんだって
でも………
私のこの気持ちはずっと気づかれることはないんだろう
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
#主の性癖