料理人がまさかのゴーレムだったとは…「あのぉ…ここには料理人居ないんですか?」
「料理人ならこちらに?」
とゴーレムの方を指差す。
なるほど、ゴーレムか…
これでは料理をご教授することはできなさそうだ。ゴーレムは話すこともできないし、作るものは全て基本通りだろうし…
魔王城での基本的な料理はわからないが、こうなったら全て自分の基本でやるしかないな。
(よし!!)
改めて気合を入れなおし…
「冥土さんここにある物全て使ってもいいですか」
「どうぞ」
許可を得たのでとりあえずゴーレムの邪魔にならないように隅に行く。
「ベリタ!!」
ミオは椅子を持ってきて俺が何するか見ている。
「ちょっと待っていてね」
見た所、ここのキッチンは最新式の調理器具が多い。中には、見たことのない器具もある。竈も大きく、これなら一度に多く作ることもできるだろう。それに何と言っても、デカい。ここのキッチン20人が入っても余裕があるぐらい広い。王宮だからかな…
でも、その広さをたった一人のゴーレムが使っているとは贅沢さもあるし、その分やることが多いので大変だな…
「はぁ…ゴーレムもお疲れ」
思わず応援したくなった。
それになんかここのキッチン、最新式で広すぎて尚更自分家のキッチンが小さく赤字経営だと思えてしまう。
(実際に赤字ギリギリだったし…)
……………よし、ネガティブモード終わり!!
「調理器具借りますね」
フライパンと包丁、周りにある調味料や粉を手にする。後は奥の倉庫にある食料を使わせてもらう。
薄力粉やベーキングパウダー、卵、砂糖、牛乳とあっ…蜂蜜がある!!
(これも使わせてもらおう)
バターなどを追加してこれで…使うものが揃った。
じー
ミオの視線が感じる。まぁ、見てるだけだは暇だろうな。せっかくなら…
「ミオ一緒に作ろう!!」
と言ってみた。冥土さんが伝えると笑顔で飛んで来た。
「これを混ぜよう」
コクッ…
では、ここでベリタのワクワクホットケーキ作り~
薄力粉、ベーキングパウダー、砂糖をボールに入れ混ぜる。
次に卵を白身と黄身に分け黄身をボールに入れる。白身の方はメレンゲを作るため、避けておく。
牛乳をボールに入れ、粉っぽくなくなるまで混ぜる!別のボールに砂糖の残りを3回に分けていれ、メレンゲを作る。角が立つまでたてる。
「ミオ交代しよう」
ミオが疲れてきているので交代で混ぜる。
メレンゲを作り終えたら、ボールにメレンゲを半分入れてなじませる。
そして、残りのメレンゲが入っているボールに先ほどの生地を流し込み、泡を潰さないように混ぜる。
これで焼く前の工程が完成した。
後は焼くだけだが…
「ちょっといいですか…」
キッチンの焼いたりすべきの所にゴーレムが立っている。どいてもらわねばできない。
どうしようと悩んでいたら…
「焼く工程は注意が要りますので子供にはできないようになっています」
「そうなんですか…」
だから、ゴーレムはその場から離れず子供つまり俺達が近づかないようにしていたのか。
「なので焼く工程はこの者に頼んでください」
と冥土さんが教えてくれた。
「ゴーレムさん頼めますか!!」
コクッ…
おぉ!!反応した。
ならば…
「フライパンにバターを塗って、火にかけてください。フライパンが温まったら、生地をお玉サイズずつに流し込みポツポツが出るまで弱火~中火で焼きます。焼けたら、ひっくり返して裏も焼いてください」
コクッ…
一度に多くのことを言ったが理解して言ったとおりに動いてくれている。
(最新のゴーレムはここまでやってくれるのか…俺もほしい!!)
いいな!!いいな!どうやったら手に入れられるかな!!
「ベリタ?」
「ハッ!!」
興奮している場合では無かった。最後の工程に必要な事をやらねば…
先程収穫した果物を切っていく…
「そうだ!!」
せっかくなら遊び心を入れよう!!
「あっ…ミオは先にダイニングルームに行ってて」
ムッ…
(不満そうにしている…)
「大丈夫。完成したらすぐに行くよ」
コ…クッ…
ミオはキッチンから出た。本人は残念がっていたが俺にとってはこの方が良い。なぜなら、今からホットケーキでびっくりさせたいのでまだ完成品を見られては困る。
(どんな顔をするかな♪)
「あっ…一つ忘れるところだった」
追加でもう一つ作る。
時間が経ち…
「うん!!焼けた」
人数分焼けたので切った果物で飾りをつけて忘れていた追加をすると…
「完成!!」
(うん、上手くできた)
できたので、冥土さんに運ぶのを手伝ってもらう。
「ミオお待たせ」
「ベリタ!!」
ミオは待ってましたと言わんばかり飛びついてきた。
「ミオ一緒に食べよう!!」
コクッ…!!
「冥土さんもどうぞ」
「はい」
全員が椅子に座った。
「いただきます」
じー
食べようとしたが、ミオから視線を感じる。
「どうしたの?」
「ベリタ??」
自分の手を合わせながら見比べている。
「????」
意思疎通ができず混乱していたら…
「ミオ様は、なぜ手を合わせ言葉を唱えているのか疑問に思っいるのですよ」
「あぁ!!なるほど」
何のことかわかった。俺が手を合わせて『いただきます』と言っていることに疑問を持っていたのだろう。確かに、この国では食事の際のお祈りは教会以外ない。ましてや、この行為をするのは異世界転移者だけだろう。
「えっ…と…これは食事の前の挨拶みたいなものです…いただきます」
手を合わせてもう一度言ってみる。
「地域特有ですか」
「そんな感じです」
「い…いた…ただき…まう」
ミオは手を合わせて真似するように言ってみた。
「惜しい…いただきます」
「いた…だきまう」
「いただきます!!」
「いただきます!!」
「そうそう!!できてる」
「いただきます!!」
「うん!!」
「「「いただきます」」」
改めて三人で言った。なんか、一緒に言うなんて久しぶりだな。元の世界特有の行為はそうそうこの世界では馴染みの無いものだらけだ。だからこそ、一緒に共感できるのは良い。何ていうか海外にホームステイした時、日本の文化を海外の人と共感したみたいだな。なんか、分かりにくいような例えだけど!
「それにしても見たことのない食べ物ですね」
「ベリタ?」
「まぁまぁ食べてみて」
ニコッ…
「「「パクっ…」」」
三人一緒に食べた。
さて、二人はどんな反応するかな…
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