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「「「パクっ…」」」三人一緒に食べた。
「うまっ!!」
「ベリタ!!」
「美味しいですね」
二人は美味しさに止まらずパクパクと平らげている。俺も負けずと止まらずに平らげる。
ホットケーキは大成功した。三段重ねの厚めに焼いたホットケーキはできたてなので温かくふわっとしており果物も水分を多く含んでいるので甘く美味い。そして、追加した生クリームが甘さを引き立て見た目も味わいも完璧だ。
「この白いのは何ですか?」
「生クリームといって牛乳から作られた甘いものです」
「なまくりーむ…」
どうやら、生クリームを気に入ったようだ。ミオもクリームを残さず細かく食べている。
俺も、クリームを残さずに食べ完食した。
(久しぶりの甘味だった)
「ハハッ笑」
「ベリタ?」
「ミオの口周りにクリーム付いてるよ」
ミオ本人は気づいていないようだが、顔周りにいっぱいのクリームがついている。それほど、夢中に食べていたのだろう。
「ちょっと待ってね…」
ミオに近づきナプキンでとる。
(あっ…!!)
仮面にクリームが付いているので少し落ちにくい。もう少し近づき、拭いていく。
「べ…ベリタ」
「あぁ…ごめん」
気がついたら、顔の至近距離にいた。
「とれたよ」
コクッ…
ミオは頷き少し顔をそらした。
(やってしまったかな…)
困らせてしまったのではないかと焦ってしまった。こういう時は、冥土さんに間に入ってもらい何とかしてほしいが
「なまくりーむ」
生クリームに夢中で気づいていない。
「お…美味しいね」
コクッ…
話す話題が見つからず、その一言で終わった。俺は、ホットケーキを食べ終えた二人を見て…
「おかわりする?」
「宜しいのでしたらぜひ」
コクッ…コクッ…
ミオよりも速く冥土さんが食いついた。
「じゃあ、作ってくるよ」
俺はもう一度キッチンに向かいホットケーキを作った。たが、それは一度だけでは終わらなかった。ミオと冥土さんはその後何度も何度もおかわりした。最終的には材料が底をついたということで終わった。俺は食べ疲れというか動き疲れて疲労困憊した。
ここまで、人気とは思わなかった。…いや、この世界だからこそだろうか。
この世界には、甘い物はほとんどなく。甘い物と言えば果物と言うほどない。また、おやつと呼べるものが数少なく。お菓子としてあるクッキーのほとんどは大人向けの苦味がある味わいだ。俺は、苦味のあるクッキーよりも甘みのある方が好きだ。なので、ホットケーキに生クリームという甘々コンビが来たので二人が夢中になるほどの新たな甘さだろう。
そういえば昔、家にいたときも俺が作った甘い物は両親からメイドさん達まで大人気だった。お菓子を作り新たな甘味を披露した。それを見たシェフも真似して作ることあった。皆で共感する美味しさ。…だが、甘い物は貴族が食べれるもの。それを貴族限定ではなく平民にも平等に分け与える俺の姿は他の者からしては好ましくなかった。従者もとい平民が食べる物は貴族である私達には好ましくないと両親は最初ほど食べず最終的には残すこともあった。幼い弟妹も親の行動を真似して残すこともあった。
(勿体ないことするよな…)
嫌ならそのまま口をつけずに放っといていたら他の人に上げたのに…
そのうちメイドさん達も表では食べず裏でコソッそりと食べるようになった。
俺は純粋に『美味しい』と言ってほしかったな。
「ベリタ!!」
「美味しいですね」
ミオと冥土さんは俺の欲しかった言葉を言う。
「二人ともありがとう」
「こちらこそ甘味を有難うございます」
「ベリタ!!・・・・・!!」
「ミオ様もありがとう…とおっしゃております」
よかった。二人がいてくれて、二人と共感する事ができて嬉しい。
「次もまた作るので楽しみにしてください」
「はい」
コクッ…!!
次は何を作ろうかな。二人と何を食べ何を共感しようかな。と考えながら過ごしていたら…
「あっ…そういえば」
急に冥土さんがキリッとしてこっちに向かってきた。
「一つ良いでしょうか」
(近い///)
冥土さんは耳元で囁くように言う。冥土さんの声は、心地よくTHE年上のお姐さん感があり色っぽく聞こえる。
「は…はい///」
(な…なんだろう)
「お願いがあります///」
(お…お願い///)
頬を少し紅くして色っぽくしている。目が合うだけで緊張する。な…何のお願いだろう。な…内容によってはお…お断りせねば。まだ、俺は…今は若い年なので…///
「生クリームを個別に作ってください」
「へっ…?!」
「お願いします」
冥土さんはキリッと真面目な顔で言っている。……思っていたよりもまともなお願いだった。
「ざ…材料があれば作れますよ」
「材料を教えてください。集めて参ります」
「わ…わかり…ました」
なんか…拍子抜けだ。冥土さんは真剣に目を輝かせながら言っているが、そんなお願いだとは…
今の俺は(☉。☉)こんな顔になっているだろう。冥土さんに材料を伝えると風のごとくどこかへ行きすぐに戻ってきた。
「材料揃いました」
「はい…」
今度はミオと一緒に冥土さんに見守られながら作った。たぶん、見守るというかレシピを覚えているのだろう。
まさかの冥土さんは個別に欲しがるほど生クリーム好きになった。