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なち
21
tako
1
ー兵庫県のとある居酒屋にてー
侑 なぁサム雫からまた連絡無視
されとるんやけど
兵庫の居酒屋「おにぎり宮」。
店主の宮治は、カウンターに突っ伏す双子の片割れ、Vリーグ『MSBYブラックジャカル』の天才セッター・宮侑を冷ややかな目で見下ろしていた。
治 あ? ああ、雫なら『今スペイン大変やからお兄ちゃんら構っとる暇ないわ』ってLINEきとったで。お前が鬱陶しい自撮りばっか送るからやろ
侑 なんやて!? 治お前それ確信犯やろ! なんで俺のLINEだけ既読無視なんや
プロの世界で「高校No.1セッター」の名をほしいままにし、今や日本代表の顔となった宮侑も、歳の離れた妹・宮雫のこととなればただのシスコン兄貴に成り下がる。
わずか13歳でスペインへバレーを学びに留学に旅立ち、今や16歳にして「コート上を操る女王」と呼ばれるようになった最愛の妹。
しかし、兄二人が知らない事実が一つだけあった。雫が「今大変」と言っていた理由。それは、バレーの大会のことではなく、彼女の——「口の悪い天才MFの彼氏」のことだと2人は知る由もなかった
冴 おい、雫。人のスマホ勝手に見んな
マドリードのカフェ。不機嫌そうに美しい顔を歪め、カフェラテを啜っているのは、新世代世界11傑に選出された天才MF、糸師冴だった。
葵 誰が見るかボケ。
もしかしてAVとかアッチ系の
やつとかみとるん?笑
冴 誰がそんなぬりぃもんみるか
雫 あぁあと通知で『青い監獄』
とかいう怪しい文字が見えた
だけや。勘違いしんといてやぁ
雫は綺麗に整った顔立ちとは裏腹に、鋭い関西弁で言い返す。
16歳にして高校No.1セッターの称号を持つ彼女は、冴のどんな冷徹なオーラにも一切怯まない。それが冴にとっては、
唯一「居心地が良い」と思える空間でもあった。
冴 ……日本で、面白い強化プログラムが始まった。俺を日本代表として試合にでてほしいらしい
葵 ほーん、あの日本サッカー協会が? 珍しいやん。あんたを満足させるストライカーでもおるん?
冴 さあな。いなければ、ただの時間の無駄だ
冴はフッと鼻で笑うと、目の前で自分の好物をおいしそうに食べる雫の頭を、
乱暴に、しかしどこか
愛おしそうに撫でた。
冴 雫。お前は日本に帰る気はねぇのか
葵 ウチ? ウチはまだこっちでやろかな思っとる。あ、でも……ツムにぃと
サムにぃがうるさいから、一回くらい顔見せに帰らな、あのツインズ暴動起こしそうやしな
冴 あのシスコン共か
と冴が呆れたように呟く。
昔プロバレー界でスターになった宮兄弟
そして現在宮侑はプロバレーボーラーとゆう肩書きをもっている兄。
冴にとっては「雫にベタベタする五月蝿い奴ら」でしかなかった。
数週間後、日本。
ブルーロックの一次選考が過熱する中、糸師冴、宮雫が帰国したというニュースは瞬く間にスポーツ界を駆け巡った。
そして、それと同時に『MSBYブラックジャカル』のクラブハウス。
「おーい宮。お前に来客だぞーなんか、めちゃくちゃ綺麗な女の子が来てんぞ」
キャプテンの明暗に呼ばれ、侑は「ファンか?」と鼻高々でロビーに向かった。
その後ろを、なぜかおにぎりの仕込み道具を持った治もついてくる。
ロビーのソファに座っていたのは、キャップを深く被り、ジャージ姿でも隠しきれないオーラを放つ16歳の少女。
雫 …遅いわ、ツム兄。プロのくせに足腰鈍ってんちゃうん?
宮兄弟 「葵ーーーーーーッ!!?!」
侑と治の声が綺麗にハモった。二人は猛ダッシュで葵に抱きつこうとしたが、葵は華麗なサイドステップでそれをかわす。
そのステップのキレは、一流のアタッカー顔負けだった。
侑 なんで帰ってきたん!?
言ってや! 俺が空港まで迎えに
行ったのに!
治 おにぎり何個でも作ったるわ!
雫、痩せたか!? スペインの飯
合わんのか!?
相変わらずの溺愛ぶりにため息をつく葵だったが、その時、彼女のポケットでスマホが激しく振動した。画面に表示されたのは【冴】の二文字。
雫「あ、ちょっと静かにして」
雫が通話ボタンを押すと、スピーカーにしていないにもかかわらず、低く冷徹な声が漏れ聞こえてきた。
『…雫。今、日本の「ブルーロック」って施設にいる。クソみたいなFWばかりだと思ってたが、一人だけ、俺のパスに追いつくイカれた奴がいる』
冴の、いつになく少し高揚した声。
それを聞いた雫は、ニヤリと不敵に笑った。まさに「女王」の顔だ。
雫 ほーん、あの冴が認める
ストライカーがおるんや。
おもろそう。
ウチも今ツム兄たちのとこおる
から、後で見に行ったるわ
冴 『あぁ。変な男に捕まる前に、
俺がマネージャーと迎えに行く』
ブツッと切れた通話。静まり返る
ロビー。侑と治は、完全にフリーズしていた。今、妹の口から出た「冴」という名前。そして、明らかに男からの、距離の近いセリフ。
侑 ……雫
侑の目が、プロの試合の時よりも据わっている。
治 今、誰と電話しとったんや?
治も、持っていたしゃもじをミキリと鳴らした。
侑 冴って……あの、サッカーの糸師冴か? 葵、お前、まさか……
葵はふいっと目をそらし、
静かに言い放った。
葵 あー、言うの忘れとったわ。ウチの彼氏、今ブルーロックにおる天才MFの糸師冴やから。お兄ちゃんらよりよっぽど顔ええで
「「認めんぞーーーーーッ!!!!」」
大人になり、それぞれの世界で日本のトップに君臨する宮兄弟。しかしこの日
高校生の天才サッカープレイヤー・糸師冴を相手に、物凄い嫉妬心が
湧いたのだった
コメント
1件
おお、帰ってきたね! 宮兄弟のシスコンっぷりが相変わらずで笑ったわ。しかも妹がまさか糸師冴と付き合ってるとか…あの冷静な冴が「迎えに行く」とか言っちゃうの、ちょっとときめいた。兄たち vs 彼氏の構図、めっちゃ燃えそう。次話が待ち遠しい!