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「なぁ、チェイス。笑顔で過ごす日々を、当たり前と思うような人間のこと、どう思う?」
俺は、俯きながら言葉を口にする。
イーサンと旅をした日々。あの時の俺は、自然と笑顔をこぼしていただろう。
あの日々がずっと、続くと思っていた。
グローバルフリーズが起き、イーサンはロイミュードに殺された。
あの時、俺は自然な笑顔とイーサンを、ロイミュードによって奪われた。
それからハーレー博士に会って、仮面ライダーになった。
俺は姉ちゃんたちと合流することを決意し、日本に帰った。心配をかけないために、笑顔の練習をした。
昔は当たり前のように作れた笑顔も、今だとぎこちない笑顔になった。
あの時の俺は、笑顔で過ごす日々が、当たり前だと思っていた。
いつも俺は、失ってから気づく。
俺はそんな自分が悔しくてたまらなくなり、歯軋りを小さくする。
チェイスは少し考えてから、水を口にし、言葉を発した。
「俺の使命は、人間を守ること。人間には、笑顔で過ごす日々を、当たり前と思っていてほしいし、当たり前と思うことは悪くないことだと思う。」
チェイスは、さっきと同じように、真剣な眼差しでこちらを見る。
チェイスは人間を守るプログラムが入ったロイミュードだ。
「変わらないな、チェイスは」
俺はそう言い、アイスコーヒーを飲み、外を見た。
学生だろうか。外には車の免許を取りに来た人たちがいた。
楽しそうに喋る人と、緊張で固まっている人もいる。
とても平和そうだ。
「だが…」
チェイスは、何かを考えながら呟いた。
「カタチのない、感情など、フタシカナモノは、やはり計算を狂わせてしまう。家族やダチ…つい乱れちゃうこと…。まだわからないことが多い。」
俺は黙った。あまりにも難しいことを聞かれたからだ。
少し考え、言葉を口にした。
「やっぱ人間の俺でもわからないな。ゆっくり考えていけばいい。ゆっくり…。」
でも俺は思っている。いや、信じている。
チェイスに、感情があり、人間に近づけることを。
そのために問いかけているのかもしれない。
だって、チェイスの手は、機械人形なはずなのにあたたかったから。