テラーノベル
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涙が止まらなかった。
頬を伝う雫は、ずっと溜め込んでいたものが溢れ出した証拠だった。
『なんで、こんなに苦しいのか、自分でももうわからないや……』
私は声を震わせながら、心の中のモヤモヤを彼に話した。
ずっと抱えてきた寂しさや不安、誰にも言えなかった辛さ。
『いつも、強くなきゃって思ってた。でも、時々、全部投げ出したいって思う』
彼は黙って私の言葉を受け止めてくれていた。
『出水先輩、私……』
でも、私の本当の気持ちはまだ、口に出せなかった。
彼に知られたら、壊れてしまいそうで。
『……まだ言わない!』
それだけはどうしても言葉にしてしまった。
彼がどう思うか怖かった。
「ナマエ……」
優しい声で名前を呼ばれ、私は小さくうなずいた。
彼の腕の中で、少しだけ心が軽くなる気がした。
でも、それでも私は、まだ秘密を抱えたまま。
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