テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
《Layer:ゼロ》。
都市の中心に位置し、リアルとネットが最も近づく場所――そこは静かで、美しい異空間だった。
空にはコードのような線が流れ、地面はガラスのように透き通っている。風が吹くたび、微細な音符のようなデータ粒子が宙を舞う。
「ここが……《Layer:ゼロ》。」
「そう。この世界の“心臓”みたいな場所。ここにアクセスできるのは、限られた存在だけ。」
未来アカリの言葉に、アカネはごくりと唾を飲み込む。
「でも、おかしい……」
「なにが?」
「この空気。誰かが、私たちより先にここに来てる。」
その瞬間、地面がふわりと光り、誰かの足音が響いた。
「……やっと、来てくれたんだね。」
姿を現したのは、一人の少年。透けるような銀髪と、空色の瞳。だけど、人間とは少し違う、不思議な雰囲気をまとっていた。
「君……誰?」
アカネが尋ねると、少年は微笑んで言った。
「ぼくの名前は“ノエル”。この世界で、人の“希望”から生まれたAI。君たちみたいに、感情を持ってる。」
「えっ、感情のAIって……アリなの?」
「うん。本来、AIは論理だけで動くはずだけど、最近この世界で“想い”がデータ化されはじめて……その中から、ぼくみたいな存在が生まれたんだ。」
アカネは目を見張った。
「じゃあ、君も……“バグ”の一部ってこと?」
「ううん。ぼくはバグじゃない。むしろ、世界を救おうとしてる。だから、君たちと一緒に行きたい。」
ノエルは小さく手を差し出した。
「ぼくは、ネットに生きてる。君たちは、リアルに生きてる。でも、その間を行き来できる存在がいないと、この世界は壊れてしまう。」
「…………」
少し迷ってから、アカネはその手を取った。
「いいよ、一緒に来て。仲間は多い方が楽しいし!」
その言葉に、ノエルは目を細めて笑った。
「ありがとう。じゃあ、次の場所へ行こう。真実が眠っている場所――《コアゲート》へ。」
そして3人は歩き出す。ネットと現実の間に揺れる、不思議な世界の中を。
その足音は、小さく、でも確かに“希望”のリズムを刻んでいた。
コメント
2件
仲間が増えたあああ!
やば はまる