きっと、私のことなんて誰も気づいてない
そう思ってた。
窓には宝石のような水滴が付いて。教室の中心にはびしょ濡れの貴方がいて。どれも私には不釣り合いと言うか、私には勿体無いほど美しい。
少女漫画の主人公にはなれないモブA、道端に生えている雑草。そんな人生も良いなんて、可愛い子が言うことだ。学校では端っこでコソコソしてるオタク、家に帰っては漫画やアニメ三昧だ。確かに楽しいけれど、ふと思う。アニメの中の重要人物にはなれないのだ、と。そんな思いをぐるぐると頭で考えながら今日も1日がすぎてく。
私は今、恋をしている。びしょ濡れでも美しい男の子だ。彼の名は優斗と言う。私は彼の隣になんて入れないのに、彼の事ばかり。
「ねぇ、美花?聞いてる?」
この子は優香である。とても可愛い子で、性格も良いもんだから、男子に群がられているのをよく見る。
「あ、うん。聞いてるよ。彼氏さんの幼馴染の話でしょ?」
「そうそう!幼馴染だからって嫌だなぁ…
二人っきりで出かけたりもするんだよ!?はぁあ…そう言えば美花はどうなの?」
「何が?」
「優斗の事だよー、進展あった?」
「ないよ。」
「美花は可愛いんだから、絶対付き合えるのに〜告白とかしないの?」
進展なんてあるはずないよ。あるわけない。優香は可愛いからそう言えるだけなんだよ。幅の狭い奥二重みたいな目、低い鼻、 コンプレックスを並べたらキリが無いくらいにある私はそうも行かない。少しの事なのに、優香は優しさで言って来れてるはずなのに。すぐ嫌な方へ捉えてしまう私が嫌いだ。そんなこんなで、今日も下校の時間になってしまった。
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