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彼、優斗君と出会ったのは一年前。
改札の前で具合が悪そうな女性を見つけ、声を掛けたところ倒れてしまった。私はどうすれば良いのか分からず、オロオロとしていると、彼が助けてくれたのだ。その時はもう会えないと思っていたが、無事同じクラスになることができた。見つけた時、とても嬉しかった。しかし彼は私のことは覚えていないようだった。困っている人や、一人の子も誰にでも平等に優しくする彼にますます私は惹かれていた。告白をしようとも思ったが、やはり彼のことが好きと思っている人も多く、彼自身も彼女がいるんだろう。告白をすべて断っていた。そして、聞いてしまったのだ。
ある日トイレに行こうと思うと、彼も友達とトイレに行っている最中らしく、なぜか聞き耳を立ててしまった。我ながらキモいと思う。彼の友達がふと、私の話をし始めた。いや、正確には優香の話だ。
「同じクラスの優香ちゃん可愛いよなぁ、彼氏いるんだろーな。」
そんな言葉に彼は「そうだね」と言った。
「あ、もしかして好きなの?優斗、優香ちゃんの事。」
その言葉にさらに聞く耳を持つ。
「でもなー、なんであんな冴えないし、いかにも真面目で可愛いとは思えない七瀬が隣にいつもいるんだろうな。なんか、隣にいたら嫌でも比べるよな。俺だったら嫌だわー美少女の隣とか。」
その時私はびっくりした。七瀬は私の苗字で、自分の名前が出てくるとは思わなかったし、今まで自分の顔と優香の顔なんて比べたことさえなくて、確かに優香は可愛いとは思ってたけど。少し嫌な気持ちになった。でも優斗君なら、そんなことない。可愛いよ七瀬もって、言い返してくれると思ってた。期待してた。しかし、彼は無言だった。何も言い返さず、少しして小さな声でそう、だねと言っていた。その日からなんだか避けられているような気がして、挨拶くらいはしてたのに。今ではもう一言も喋らない。
なんだかその後の私は中身がないみたいに無表情で、フラフラとしていたらしい。
その時私は恋を諦めるしかなかったのだ。変に告白でもしたら、あっちだって迷惑だし何より、キッパリと断られたくなかった。でもそう簡単に諦められるはずもなく、今に至る。本当に嫌気がさす。こうなるなら恋なんてしなかったのに。