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ねえ、みんなはさ。もし『ちょっとだけ未来が見える力』があったら、どうする?
宝くじ当てる?
テストの答え見る?
それとも、事故を回避する?
……僕の場合?
僕の場合はさ――
『殴られる瞬間』が見える。
◇
僕の名前は、刃向 未来(はむかいみらい)。
名前の通り、“未来”が見える体質だ。
と言っても、いつでも見えるわけじゃない。
発動条件はたった一つ。
――僕自身が、死ぬほどの恐怖や危機を感じて、アドレナリンがぶち上がった時だけ。
最初に気づいたのは、小学校3年の夏だった。
近所の裏路地で、放し飼いにされてた凶暴な大型犬と鉢合わせた。
低く唸る声。剥き出しの牙。
ダッ、と地面を蹴って僕に飛びかかってきた瞬間――
(あ、死ぬ)
ドクンッ!!
心臓が跳ね上がって、世界が真っ赤に染まった。
その瞬間、僕の視界に『ブレ』が起きたんだ。
重なるようにして見えた。
コンクリートを蹴る犬の影。
そして――コンマ何秒か先に、僕の喉元に噛みつく犬の『未来の軌道』が。
「ッ……!」
僕は無意識に、身体を左へ捻っていた。
同時に、すれ違いざまに突き出した右拳。
ガツンッ!!
小さな僕の拳が、飛びかかってきた犬の顎下を完璧に撃ち抜いていた。
犬は悲鳴をあげて転がり、そのまま逃げて行った。
手の痺れを感じながら、僕は理解した。
――あぁ、僕には見えたんだ。
これから起きる『未来』が。
コメント
1件
第1話、読みました……! 「未来が見える」って聞くとすごく便利そうに思えるのに、主人公の能力は「殴られる瞬間」限定で、しかも死ぬほど怖い時だけ発動するっていうのがもう、設定だけでゾクゾクしました。 犬のエピソード、めっちゃ臨場感あって、拳の衝撃が伝わってくるようでした。これからどんな未来が待ってるのか、すごく気になります……! 続きも静かに読ませてもらいますね🌙