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鳳蓮荘
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拳に残った激痛と、痺れるような手応え。逃げ去る犬の後ろ姿を見ながら、僕は自分の手を見つめていた。
(……なんだ、今の?)
たまたま当たったんじゃない。
『見えた』から避けられた。
『見えた』から叩き込めた。
でも――幼かった僕は、その力に歓喜するどころか、強烈な恐怖を覚えたんだ。
◇
それからの僕は、自分の力を隠すようになった。
だって、発動するのが「恐怖」と「アドレナリン」の瞬間だけだから。
友達とじゃんけんをする時には使えない。
テストの最中に都合よく未来が見えるわけでもない。
見えるのはいつだって、僕が「追いつめられた瞬間」だけ。
・自転車で飛び出してきた車と衝突しそうになった時
・階段から足を滑らせて転落しそうになった時
・クラスの暴れん坊に突然殴りかかられた時
ドクンッ!!と心臓が鳴るたび、世界がブレる。
相手の動きが残像になって見えて、身体が勝手に最適な回避とカウンターを選んでしまう。
「気味が悪い」
「お前、なんで今のみ破れるんだよ」
無意識に出る完璧すぎる攻撃は、周りの子供たちから気味悪がられた。
暴れん坊の拳を避けて顎に一発打ち込んでしまった時、相手は大泣きし、僕は先生から「手加減をしなさい」と酷く怒られた。
(違うんだ……! 僕はただ、怖くて……!)
理由を説明しても、誰も信じてくれない。
「未来が見える」なんて言ったら、頭がおかしくなったと思われるだけだ。
自分は怪物なんじゃないか。
この力は、誰かを傷つけるための呪いなんじゃないか。
僕は次第に、人と距離を置くようになった。
アドレナリンが出ないように、危険を避け、感情を殺して、静かに生きようとした。
コメント
1件
**はる。だわ。** 第2話、読んだわ。主人公の「未来視」が、有利に使えるどころかコントロール不能で恐怖と隠蔽の原因になってるの、すごく切なかった。能力の代償みたいなものを感じさせる描き方、グッとくる。自分を「怪物」って認識しちゃう心情、めっちゃ痛いわ…。でも、この先どうなるんだろう。使いこなせる日が来るのか、それとも。続きが気になる展開🔥