テラーノベル
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第一章 歩幅をあわせて
翔太💙「待ってよ/// 歩幅、考えろよ💢」
力強く握られた手首に熱が伝わる。乱暴に掴んでいるようで、どこか優しい。息を切らしながら蓮の歩幅に合わせて小走りになる。
蓮🖤「急がないと時間ないんだよ?」
蓮が海外ドラマ撮影のため、長期の遠距離婚が始まってからひと月が経つ。
溢れんばかりの涙を必死で拭い、笑顔で送り出したあの日の蓮の背中を、一日たりとも忘れた日はなかった。昨日のことのように感じられるほど、鮮明に覚えているのに……。
翔太💙「意外と早く帰ってきたね……」
蓮🖤「どういう意味かな? 会いたくなかったの?」
会いたかったに決まってる。今日というこの日を、どれだけ首を長くして待っていたと思うんだ……。
メンバーみんなで蓮の活躍を祈った。見知らぬ土地での長期にわたる仕事に不安を抱えているのは、蓮だけじゃない。長い間、離れ離れになって会えないだなんて、俺が耐えられるか自信がなかった。
蓮が海外へ行ってからというもの、仕事がオフの日は舘阿部夫妻の家を訪ね、泊まって帰る日もあった。明らかに不快感を露わにする二人をよそに、お構いなしに二人の間に割って入り、ベッドに寝そべった。
そんな生活が二週間ほど経った頃、「いい加減にして」と阿部ちゃんに怒られ、渋々家に帰ると、静まり返ったリビングで何度涙を流したことか。
寂しさボルテージがMAXを迎えたところに帰ってきた旦那様は、俺の限界値を分かっていたのだろうか?
手首を掴まれ、ワゴン車の後部座席に押し込まれた。まだ発車していないにもかかわらず、蓮は唇に噛みつくように貪ってくる。
翔太💙「んっ、待って……はっ……苦しい……」
蓮の歩幅に合わせて、肩で息をしながら小走りで追いかけ、空港のターミナルを横並びに歩いた。
俺は息も絶え絶えで、性急に俺を欲する蓮に呼吸が追いつかず、胸をドンドンと叩くものの、我を失って俺を喰らう蓮は、まったく周りが見えていなかった。
俺はと言うと、嬉しさよりも怖さが優った。
再会と同時に始まる、別れへのタイムリミットが、今まさにカチカチ音を立てて動き出したのだから……
涼太❤️「流石に目のやり場に困るんですけど?」
康二🧡「なんかあれやね……安っぽいエロ映画観てる気分やわ」
亮平💚「バカじゃないの、アンタら。呆れちゃう」
蓮 🖤「聞いてないよ💢」
メンバー全員が乗る車内に驚きを隠せずにいる蓮は、俺を睨みつけた。話す間もなく貪られたのだ……。事前に伝えていなかったのは、仕事が忙しくてうっかりしていたからだ! ……えへっ///
翔太💙「帰って早々悪いんだけど、お仕事だよ、蓮」
海外仕事中はなかなかスマホも見られず、みんなのスケジュールを確認するのも難しいほど、毎日忙しかったらしい。帰りの飛行機で仮眠を取るのが精一杯だった蓮は、日本でのスケジュールを一切把握していなかった。
蓮🖤「じゃあ尚更、時間ないじゃない? ……みんな知ってるんだし、今さらいいよね?」
翔太💙「へっ?ンンンッ……ウソ……やだぁ、蓮!」
シャツを捲り上げ、胸の突起を指で摘む蓮。片方の手で布越しに下半身を撫で上げられる。
蓮 🖤「しょっぴー、舌ちょうだい」
無理やりねじ込まれた舌が、俺の歯列をなぞった。
嫌じゃない。
でも、同じ速さでは追いつけない。
亮平💚「まぁ、なんてこと……///」
康二🧡「あかんあかんって! 誰か止めたって! エロいって、ほんま」
照とふっかは呆れて車窓を眺めて気を紛らわせ、ラウールは大きな手で顔を覆っているが、明らかに指の隙間から覗いている。バタバタと足を動かして抵抗するも、楽しそうな佐久間に阻止された。
大介🩷「にゃはぁっ、暴れるなよ翔太/// 旦那様の言うことは絶対だぞ」
涼太❤️「蓮、いい加減にしなさい……嫌がってるだろ?」
翔太💙「ンンンンッ……あんっ/// 蓮♡」
蓮🖤「そうでもないみたいですよ? 気持ちいいみたい♡」
翔太💙「痛っ💢 何で俺まで!」
二人同時に、涼太と亮平からゲンコツをされた。
その後、撮影スタジオに到着するなり、二人して照にお説教をされた。どうして俺まで怒られるんだ。さっぱり意味がわからない。
蓮の帰国に合わせてスケジュールはパンパンに詰まっており、「ふざけてる時間はないんだぞ」というのが照の言い分らしいが、納得のいかない蓮は珍しく照に口答えしている。
蓮🖤「時間がないんだよ、岩本くん! 至極真面目に俺は翔太を抱きたいんだ! 全くふざけてなどいません! 隙あらば、やらせてください!」
照は大きな手を口に当て、「お前なぁ〜……」と言って返事に困っている。
とにかく仕事が最優先だと釘を刺され、ソファーに座る蓮は殺気を帯びていて、怖いったらなかった。
俺はというと、正直、蓮の顔を遠くから見ているだけで十分だった。
久しぶりに会う蓮はカッコよくて、少し痩せたかな。触れたり、声を聞いたりすると、別れが悲しくなるから……。また数時間後には行ってしまうと考えただけで胸が苦しくなり、空港で見送ったあの日のような、言いようのない虚無感がまた俺を襲う気がして、想像しただけで泣きそうになる。
涼太の影に隠れて少し距離を取ると、肩越しに見える蓮を、うっとりと眺めた。
辰哉💜「なべ? めめの隣、座りなよ? 何でそんな離れてんだよ?」
翔太💙「しーっ。いいから、ここでいいの!」
亮平💚「どうせ離れ難くなるから、とか思ってるんでしょ。後悔しても知らないわよ? 時間は刻一刻と減っていってるのよ? ……ていうか、涼太に触らないで?」
翔太💙「いつでもイチャイチャできるから、今日くらいいいだろっ?」
スタッフに呼ばれ、まずは雑誌の撮影が始まった。
事もあろうに、蓮とのツーショット撮影があり、渋々スタジオへ行くと、不機嫌を露わにした蓮が先にスタンバイしていた。
翔太💙「よっ……よろしく」
蓮🖤「硬い表情だね? 俺のいない間に、何か変わったことでもあったのかな?」
翔太💙「な、ないです……何もないで」
蓮の匂いがする……。
背中合わせになって始まった撮影は、時折手が触れ合い、胸がドキドキと早鐘を打った。まるで彼を好きだと認識した、あの日のように甘い記憶が蘇り、終始ソワソワして集中できずにいた。
蓮🖤「早く帰れないよ? イチャイチャの時間、短くなるだろ?」
撮影に収録など全てのスケジュールを終えると、蓮は別の仕事でメンバーと離れ、俺は家へと戻った。
蓮と過ごしたこの家で、一人きりの時間が、もう一ヶ月も続いている。
誰もいないリビングは、時間の流れが止まったみたいに、静かだった。
亮平の言う通りだ。
蓮と居ると別れが辛い…
離れ難い俺は、〝行かないで〟って言ってしまいそうで怖かった。
寂しさを紛らわすように、キッチンに立った。
覚えたてのレシピを、丁寧に、ゆっくりと作った。
翔太💙「帰ってきたら、びっくりするかなぁ?」
蓮の帰国が決まってから、二人きりで過ごせるこの時間を、俺は楽しみに過ごしてきた。
たとえそれが僅かな時間でも、蓮に覚えていてもらいたくて……。
コメント
6件
おかえりー!!!🦒🦒🦒 もーーーすっっっごい可愛い💙待ってたよおおおおおお(号泣) ❤️💚も可愛いし、最高、ほんと好き🥰マイペースでいいから時々あげてくれたら嬉しいなぁ💕
お久しぶりでございます♪ しばらくゆっくりお休みをいただき、また新しい作品に向き合うことができました💙 少し暗めのお話にはなりますが、時間をかけて大切に描いています。 よろしければ、そっと覗いていただけたら嬉しいです🥺