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「嫌になった、何もかも……悪党のお守りなんて、もう……」
裏社会でのし上がるため、「シルバー」こと裏社会のフィクサー館岡銀次と共に活動を続けていた土方直樹。しかし彼は神谷家の内部抗争における出来事をきっかけに、裏社会から足を洗うことを決意する。
天才的・悪魔的な才能を持つ彼に魅かれていた直樹は、彼の元から分かつこととなった。もう二度と、彼のような自分を引き上げてくれる特別な人間とは出会えないことに涙する。
「さよなら、銀次さん……」
一九九四年三月、引退。それから二年後……一九九六年二月。無気力な日々を送っていた。
館岡銀次という魅せられ信頼し、そして超えたいと思っていた存在を喪失した彼は「自分の中の何かを失った」ように満たされない毎日を繰り返す。
裏社会の稼業で数億という大金を稼いだが、彼はその金を全て捨て去っていた。悪党として稼いだ金を見ているだけで、彼は自分の感覚が壊されていくような嫌悪を感じるようになったからだ。
引退後、彼と出会う前の日雇いの仕事などで地道に稼ぐフリーター生活へ逆戻りしていた。さすがに競馬などのギャンブルに手を染めることはない。が、再び戻ってきたシャバでの生活にまるで生きがいなど感じられない……。
コメント
1件
サトルさん、第1話拝読しました。直樹の「自分の中の何かを失った」という空虚さがひしひしと伝わってきました。銀次さんという絶対的な存在を失い、金すら嫌悪して捨てる――その潔さと痛みが胸に刺さります。日常に戻っても生きがいを感じられない、あの無気力な空気感の描き方がとても丁寧で好きです。また続きが読みたいです🌷