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(平日なら夕方以降……か、仕事終わりにって事なのかな? 忙しいのかもしれないから、土日にわざわざ時間取ってもらうのも悪いよね)
朔太郎の返事を見た咲結は考えたのち、
【私はいつでも大丈夫だから、さっくんの都合が良い平日に会いたいな】
日時は朔太郎に決めてもらう為、特に日付けの指定をせずに返信した。
すると、
【それなら今日とかどうだ? 所用でお前の高校の近く通るから、帰りに拾ってやるよ】
そう返ってくる。
「え!?」
驚いた咲結が思わず声を上げると、
「橘、もうHR始まってるぞ。 いい加減スマホはしまえ」
「す、すみません!」
いつの間にか担任が教室に入って来ているだけではなくHRも始まっている事に気づかなかった咲結は、注意されて状況を理解し慌ててスマホをポケットにしまい込む。
(え? さっくんが迎えに来てくれるの? いいの!?)
そして再び先程のメッセージの返事を思い出すと、戸惑いながらもニヤケが止まらない咲結の表情はかなり緩んでいて、周りや担任から何か嬉しい事があったと丸分かりだったのだけど、それについて触れる者はいなかった。
「ねぇ優茉、髪変じゃないかな?」
「うん、大丈夫」
「メイク、もう少し濃い方がいいかな?」
「いや、それでいいと思うよ?」
放課後、クラスメイトたちが帰り支度をしているさ中、咲結は机に鏡を立てて髪型やらメイクを入念に直しては、逐一優茉に意見を求めていた。
「あー、早く来ないかなぁ、さっくん」
「アンタそれ何回目よ? 嬉しいのは分かるけど浮かれ過ぎ」
「だってぇ」
「まぁ良いけどさ、浮かれ過ぎてから回って迷惑かけたりしないかが心配よ、私は」
「大丈夫大丈夫。今日の目的はさっくんの事をより詳しく聞く事だし、彼女でもない私のお願いに付き合ってくれてるだけだもん、迷惑かけたりはしないよ。それよりさ、やっぱりこっちのヘアピンの方が可愛いかな?」
「橘、なんだよ、そんなにめかしこんで。これから合コンか?」
話しながら朔太郎に会う準備に勤しんでいる咲結の元に、一人の男子生徒が声を掛けてきた。
「違うわよ。これからとーっても素敵な人が迎えに来てくれるの」
「はあ? 迎えに来るって、チャリでか?」
「違うわよ、車よ車!」
「お前、もしかして今流行りのパパ活ってヤツやってる訳?」
「バッカじゃないの? そんな訳ないじゃん。とにかく、今忙しいの。玉井に構ってる暇なんてないんだから、あっち行ってよ」
声を掛けてきた男子は咲結たちと同じクラスで、事ある毎に咲結にちょっかいを出してくる玉井 亮介。
傍から見れば亮介が咲結に好意を抱いている事は一目瞭然なのだが、咲結は全くといっていい程気が付いてはおらず、寧ろ常に構われて鬱陶しがっていたりする。