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#下手くそな絵を書いてみた!
ぬ #5
942
sh40×62※62さん推し閲覧注意
堕ちる
リーグ問わず、球界中を困惑の渦に
叩き込んだトレードだった
横浜の正捕手、シーズン中に電撃トレード
肩、バッティング、キャッチングどれを取っても
充分すぎる一級品の正捕手だった
移籍して翌日の試合、早速スタメンとして使われ
元々福岡でスタメン正捕手だった自分は
有無言わさずベンチへ
そしてそれからずっと、山本はスタメンであり続けた
自分は開幕スタメンだったにも関わらず、
あっという間に打率を抜かれ、打点を抜かれ…
そして自分のアピールポイントと
言えるほどに優れていた守備技術でさえ
もはや山本には勝てなかった
たまにスタメンとして出場した試合では
後逸などの穴が出て
打撃も、もはやアウトを取るだけ
何一つとして山本に勝てない
SNSでの反応も、言わずもがなだった
お疲れ様、や
去年正捕手やってたくせに、他所から来た山本に何も勝てない
守備さえも…、そんなコメントばっかり
完全に2番手の捕手になってしまい
ひたすらに練習をした、せめて守備だけでも…
練習、練習、練習、練習
練習に打ち込むたびに沈んでいった
まるで固まっていないセメントに足を漬けたように
底なし沼に足を突っ込んだように
吐くほど練習しても、上手くなるどころか
どんどんと体のコンディションは悪くなっていく
それでも、どうしても動かずにはいられなかった
自分が動いていない間に、
山本はもっと、上手くなっているのではないか
そう考えると止まっている時間なんてなかった
去年、一緒に優勝の景色をこの目で見た杉山は
なんだか、生き生きと楽しそうに山本と笑っていた
もう、どうでも良くなった気がした
全ては、また杉山の隣に立つためだった
その一心で、俺は走り続けていた
杉山は自分を待っているはず…そう思って
なるべく早く、杉山の横に立てるよう走った
それなのに杉山はもう、
マウンドでは自分じゃなく山本を欲していた
そう気付いた頃には、体はボロボロで満身創痍
おおよそ、プロ意識が存在すると思えない
コンディションの悪さだった
心配した杉山が話しかけてきたがもうどうでも良くて
でも、やっぱり、山本に嫉妬するような自分だけが
一番に許せなかった
そうして日々、奈落に堕ちていく海野を
杉山はどうする事も出来ないまま見ていた
杉山は、本当はずっと海野を待っている
それなのに、不器用が故に
海野が頑張り過ぎている故に
それが伝わらないまま
杉山は、海野に生温い死を与えてしまっていた
そして、限界を迎えた海野に対しても
杉山はまた、不器用過ぎた
コメント
1件
うわあ…第3話、読ませていただきました。海野の「努力すればするほど沈んでいく」感覚が、底なし沼の描写と重なってすごくリアルで胸が痛くなりました。特に、杉山が本当は待っているのに、不器用さゆえに伝わらないもどかしさ……あのすれ違いの描き方が繊細で、読んでいて切なくなりました。続きがすごく気になります。