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海の紅月くらげさん
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図書室のドアをあまり音を立てないように慎重に開いた。
ドアを開ける音が響くほど図書室の中は静か。
一つ、また一つと、本棚を通過していく度に誰もいないんじゃないかと思ってしまう。
ふと、何かが動いたことに気づき視線を向ける。机が並ぶ先にあるのは開放的な大きな窓を隠すように存在している真っ白なカーテン。
よく目を凝らしてみると、カーテンの内側に人がいるようだった。白いカーテンから透けて見える桃色。
「実里くん?」
私の声にその人物が僅かに動いた。
またどこかへ行かれないように慎重に近づいてカーテンを捲る。
その中には腰ほどの高さの棚の上に座っている実里くんがいた。
彼は長い睫毛を俯かせて、ため息を吐いた。
「なんで来たの」
拒絶ともとれる言い方に、怯みそうになる。
でも、ここで怯んだら追って来た意味がない。ここまで来たのは、武蔵先輩に頼まれたって理由だけじゃない。
「一人にできないって思ったの」
実里くんが目を見開き、驚いたように顔を上げた。
「何言ってんの……せんぱい」