テラーノベル
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「ショウタ。こっちこっち!」
阿部が手を振って、居場所を教え…
ショウタは慌てて駆け寄って行く
「阿部ちゃん、有名人なんだから…。街中で、そんな大声出したら駄目だって…」
平気で目立つ事をする、阿部に…
ショウタが人差し指を唇に当て、静かにする様注意する
「ショウタだって、そうだろ?変装無しで歩いて来て…きっと声、掛けられただろ?」
確かに、部屋を飛び出してから…ここまで握手や写真を求められたり
指をさされて叫ばれた事も、あった気がする…
「芸能人って…大変なんだな…」
シミジミと言うショウタに、苦笑いした阿部は…
ショウタの手を取り、建物の中に入って行く
「ちょっ…俺、ここ入って良いの?」
「大丈夫。今日はここで撮影だから…」
2人は案内され、まだ誰も居ない部屋に入り…
荷物を置いて、向き合って座る
「それで…今度は、何があったの?」
阿部が優しい顔をして、ショウタを見つめて聞いて来た
「俺…涼太に告白した…」
せっかく忘れ様としていたのに、聞かれてすぐに思い出す…
涼太と翔太は想い合って、自分が入る場所などないはずなのに
どうしても、涼太に振り向いて欲しくて…言ってしまった
「それで、何て言われたの?」
ここでへこんでいると言う事は…答えは分かっているが、聞いてみる
「涼太には翔太しか駄目なんだって…」
そう言ったショウタの目に、涙が溢れる
「何で、俺じゃ駄目なんだろう…?俺だって…涼太の事、好きなのに…」
こう言う時は、溜まっている気持ちを吐き出させるのが1番良い
阿部は、聞き役に回り…黙ってそれを聞いている
「ワガママが駄目なら良い子にするし…。文句を言うなって言うなら、そうするよ…」
自分の想いが通じず、子供の様に泣きじゃくる…
その間ずっと、阿部はショウタの頭を撫でて…困った様に慰めている
「ねぇショウタ…本当はもう気付いてるんでしょ?でも、どうしても…認めたくない」
「だって…俺、好きなんだもん…」
「好きだけじゃ…報われない想いもたくさんあるよね…」
翔太の事を思い出し…阿部がポツリと、そう言って
ショウタも、それに頷いた
「ねぇショウタ…涼太やめて俺にしない?」
「阿部ちゃん、やめてよ…そういう冗談…」
「あ〜あ…ショウタにも、フラれちゃったか…」
大袈裟なリアクションで、天を仰いだ阿部を見て
「俺、もう行くね。後よろしく…」
そう言った、ショウタが…ゆっくりと目を閉じた
コメント
8件
二つ目の人格はいつからいたんだろう?