望の独り言　二冊目

「世の中には本当に余裕のない人があふれてるよね。信号を無視する人とかながらスマホをする人とかマジそれだと思う。エスカレーターを歩く人もね。だけどどうしてそんなに余裕がないんだろうね。私はそれが不思議で仕方ないんだ。でも、昔の自分を思えばなんとなく分かる気がするよ。自分のことを受け止めてもらえてる実感がないからなんだなって。昔の私もそうだった。望と一緒だよ。私の両親も私のことなんか邪魔だとしか思ってなかったしさ。

ドラマとかじゃ口では邪魔だとか言ってても本当はちゃんと親としての愛情も持ってるみたいな展開になったりするけど現実はそんな都合のいいものじゃないよね。『本当は子供のことを愛してるとか口にしたって、それが本心からなのか分かんないしさ』」